『あるアニメ製作スタジオの終焉について』をなぜ休載したか

 この作品を書き始めたのは、ごく内輪の備忘録として残したかったからです。


 あの時筆者と仲間たちは、文字通り七転八倒を繰り返しながら、最後には大きな可能性に指先が触れるところまで行きました。しかしそれがどこにも記録されず、人からも、そしていつかは自分も忘れていくことが、どうにも悔しかったのです。


 そんな切っ掛けで書き始めたのがこの作品です。内輪で回し読みして、問題がなければ公開してもいいかなという程度だったのです。

 それがあんなに、一気にブレイクするとは思いませんでした。


 だから準備不足は否めません。


 とはいえ、身内でひっそりとはいうものの、『カクヨム』に公開する以上は覚悟はありました。むしろそれは軽いものではなく、相当な覚悟と言って良いでしょう。

 誤解、批判、誹謗、中傷には甘んじるつもりでした。

 直接対話ができる相手となら、話し合って真意を伝えるつもりでした。

 加筆修正も大歓迎と言う立場でした。

 ちょっとやそっとでは、引かないぞと思っていました。


 そしてブレイクした後は、考えを切り替えました。

 どうせ表に出たものならば、この作品を使って当時の仲間や協力者たちにエールを贈ろうと思いました。皆、あの最後の半年で、こんなにすごいことをやっていたんだぞと。


 それがなぜ突然に休載したかというと、そのエールを送りたいと思っていた仲間や協力者たちに、その真意が伝わらないばかりか、相手を傷つけている可能性があることをある事を、ある方から教えていただいたからです。

 そしてその相手には、真意を伝えに行く手段もありません。


 それと、筆者が十分に配慮をしたつもりの方々の更に外側に、迂闊ながら全く目に入っていなかった人たちもいました。


 こんなこともあって、今回の決断をしました。

 事は迅速にと思ったので、本件に関する電話を切ったすぐ直後に、全原稿を取り下げしました。それが筆者が示せる、最大の誠意と思いましたので。


 休載という表現をしたのは、いつか公開したいと言う筆者の願いを込めた上での選択です。

 いつの日か、相手に伝わる真意がどうかなど、気にすることも無いほどに作品を磨き上げ、更に筆者自身が「あの人物が書いたのだから、納得だ」と、相手から思ってもらえるほどに成長すれば、きっと自信と覚悟を持って、公開できる日が来るように思います。


 いつかできるとは思いますが、約束はできません。

 それまでの、長き長き休載です。

 とにかく、その日が来るまで、修行と研鑽を積みたいと思っています。

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