見下ろす

 A氏は見下ろすのが好きであった。階段の上の段から、坂の上から、屋上の上から。とにかく高いところから見下ろすのが好きであった。

 そのうちある程度の高さでは満足できなくなり、展望台の上から、山の上から、飛行機の上からと、どんどん高いところから見下ろしていくようになった。しかしどんなに高いところから見下ろしても、彼の心は満足できなかった。


 そして彼は最も高いところから見下ろす方法を思いついた。そしてさっそく実行に移した。


「全く、こんなにバラバラになったのは久しぶりに見た。」

「ほんとですよ、しかし理解できませんね。死んだら一番高いところから見下ろせるから、飛び降り自殺するなんて。」

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