十四

幼い頃から私はとにかく絵を描くことが好きだ。

今でもそれは変わらない。


そしてそんな神経衰弱の折に、

何かあればいいときっかけを、

そのベーシストはくれた。(ここからSと記す。)


私は、今迄そんな風に公に絵を描いた事がなく、

だけれども出来るならやりたいと、

承った。


イベントも、私の絵も、好評を得た。

泣く程嬉しかった。


イベントの打ち上げに彼は言ったのだ。

「ママ(私の母)はいつもなら打ち合わせ1人で来るのに、

お前が、体調が悪いってなって、とっても心配してた。お前が何で大変なのか分からないけど、凄く大変なのに、頑張ってるってわかってるから。」


本心で言ってる事が分かった。

本当に優しい人間だった。

一生懸命両手を包んでくれた。


けど、彼は、もういない。

生きていればこの間二十九になっただろう。

3年前に先立った。自殺だった。

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