第15話「スーパーマンは愛のために」生きろよ…。

4月23日

九州の震災があってから、叔父さん(長男)が、祖母の元へ駆けつけた。


そうしたら、すぐ次のマグニチュード7あたりの地震で、熊本空港は閉鎖してしまうし、


「とじこめられた!」と


気が気でなかった。


TVをつければ震災の事ばかりで、ついつい釘づけ。


情報が更新されるつど、死者は増えるし、涙は出るし。


伯母さんの家は基礎がやられて、壁にひびが入って半壊?


夜は避難所で寝ているらしい。


ちなみに従妹の一人は被害の少ないところに住んでいたらしく。避難もしてない。


だけど叔父さんの話だと、被害のひどいところでは、道路に車がずらっとならんでいたし、みんなその中で眠っているらしい。


祖母も車の中で足が伸ばせずこわばったというから、ついツボをさすってみる。


自分でマッサージをしたというだけあって、足は丈夫なようだった。


肩は一部コリコリだったが、ほぐしてあげた。


家で飼っている猫は足腰をマッサージしてくれるのよ、ととびっきりのネタを披露する。


しかし、タイミングよく助けに行った、叔父さんはスーパーマンみたいだと思った。


今日、祖母の顔を見に来た妹も同意した。


彼は家へ来たときは、最初は威勢を正していたけれども、お別れのころにはお疲れの様子だった。


長男だけあって、昔から細やかな気づかいをしてくれて、お土産なども気が利いている。


長崎土産をみんなでいただきました。


「叔父さんは、昔から親思いなのよ」


と母が言う。


おまけに、


「おばあちゃんが一時期病がちだったころ、布団に寝ているおばあちゃんの横にジッと正座していた姿、憶えてるわ。そのころからずっとよ」


と言うではないか。


そうか。


スーパーマンはお母さんのために、やさしく、強くなったのだな、とわたくしにもわかった。


彼は、祖母の家のガレージのブロック塀がひびいってしまったのを直してから、来たらしい。


これからどうなるかもわからないのに、やっぱりスーパーマンだと思う。


彼は仕事のため、自宅へ帰って行った。


休む間もないとは、もっといたわってあげればよかった……そんな思いでいっぱいだ。


だって、スーパーマンは愛のために、身を粉にして働いているんだもの……!

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