封鎖月面のぐうたら姫

ユーアート

第1話 プロローグ

 

 ……落ちている、落ちていく。

 気が付けば私は真っ黒な夜空にいた。

 上には何も、星も月もない、見えない。

 私は下を向いた。

 穴がある。小さな穴が沢山ある。


 でも、落ちれば落ちるほど、近づけば近づくほどその穴は大きくなった。

 目の前の穴はもう、小学校の校庭くらいの大きさ。

 私のその内の一つをくぐった。


 くぐった穴は……違う、穴じゃない、あれは大きな朧月。

 私はお月様を通って空を落ちている。


 その月に、手を伸ばすように塔が5つ建っていた。


 ……ああ、これはきっと夢。

 幻のような夢なんだ。


 それが、この月照街で目を覚ます前の、私の記憶。

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