第二話 ステータス確認

 餓鬼の死体に群がる大量の餓鬼の群れから何とか逃げおおせた俺は、1mほどの小さい岩影に身を隠しながら、安堵の吐息を吐き出していた。


 はぁやばかった。というか、いつの間にあんなに集まってたんだよ?


 先ほど餓鬼の死体に群がる大量の餓鬼の姿を思い出して、俺は身震いする。


 まぁとにかく少し落ち着こう。


 俺はそう思いながら、気持ちを落ち着かせるために、静かに深く深呼吸をした。


 すぅ~はぁ~すぅ~はぁ~よしっだいぶ落ち着いた。


 とりあえず気持ちを落ち着かせた俺は、現状把握することにした。


 今俺は、よくわからないが、餓鬼と呼ばれる怪物だか魔物だか妖怪のようなものたちが、たくさんいる世界にいる。


 で、俺はどうやらその餓鬼たちと、敵対しているらしい。


 まぁ敵対という認識が正しいかどうかはわからないが、似たようなものだと思う。


 そして次に俺には、敵のステータス。というものを、見る力があるみたいだ。


 ステータスか……まるで、ゲームみたいだと俺は思った。


 でも、ゲーム。というせんはないだろう。と俺は解釈する。


 なぜなら、最初この世界で目が覚めた俺は、全身やけどを負っているかのように、熱かったからだ。


 熱いということを感じられるということは、ゲームであるはずがない。


 ゲームというものは、いかにリアリティを追及していようとも、熱い。や寒い。などの感覚までは与えてはくれないからだ。


 まぁもし化学が進めば、人間の脳神経や精神などを解析して、ゲームをしながら、熱い。や、寒い。もしくはうまい。や、まずい。などの感覚を得ることもできるようになってもおかしくはないが。


 まぁ少なくとも俺のいた世界ではそれだけの技術力はまだなかった。


 ということは、必然的に、今、俺の感じている感覚からして、この世界がゲームであることはない。ってことは、やっぱ俺死んだのか?


 俺はここに来る前までの記憶をたどってみようとするが、頭にもやがかかったかのようにまったく思い出せなかった。


 ただ認識できているのは、この世界に来るまで自分は日本人であり、普通の一般的な人間であったという認識だけだ。


 そう俺の記憶にあるのはそれだけだった。


 まぁ過去はいい。よくラノベとかで言われている異世界転生や異世界転移なら、元の世界より面白そうだし、うまくすれば成り上がれる。


 俺はそう思って今の自分の現状を受け入れることにした。


 そう、決め手しまえばうそのように覚悟が決まった。


 まず、自分にできることをしよう。


 俺にできること。俺にできること。


 う~ん。と俺はうなりながら悩む。


 と、先ほど餓鬼のステータスを鑑定したことを思い出した。


 そうだ。自分のステータスを鑑定してみよう。


 名前 なし

 種族 火の玉族

 状態 凍傷(小)


 レベル 1

 HP 2/3

 MP 3/3

 攻撃力 0

 防御力  0

 素早さ 2

 呪力  3


 耐性

 耐火 +10

 耐水 -

 

 スキル  火の粉 レベル1

      浮遊  レベル1


 特殊スキル 物理無効


 特性スキル 燃え移り レベル1

       

 称号 なし


 装備 なし


 って、ちょっとまて。なんだこの最弱モンスター並みのステータスは? しかも攻撃力0だと? 攻撃力0でどないせいちゅ~ねん! しかもいつのまにか凍傷のバッドステータスがあるし! 俺死ぬのかっなんもしないで死ぬのか! 


 ひとしきりわめいてからふと特殊スキルに目を向ける。


 物理無効? 俺が目を向ければ特殊スキル物理無効の詳細が、脳裏に浮かび上がってくる。


 『物理無効』物理的な攻撃を一切受け付けない。


 て、ことは何か? 物理攻撃に対してだけは俺は無敵ってわけか? 


 ああだからか。俺は先ほど餓鬼に噛みつかれたにもかかわらず、痛くもかゆくもないばかりか、噛みつかれた。という認識すらなかったのは。


 俺はこの特殊スキル物理無効を見て、ようやっと先ほど餓鬼に噛みつかれたというのに、痛みはおろか噛みつかれたという認識すら生まれなかった理由を知った。


 とりあえず、今までの経験と、自分のステータスを見て俺にわかったことは、ここは今まで俺のいた世界ではなくて、少なくとも異世界そのものか、もしくはそれに類似する世界だということだ。


 とりあえず、俺は何らかの原因によって異世界に来て、自分の姿かたちが変わってしまっているということを理解した。


 とはいえ、さてどうしたものか? 異世界に来たのはいいが、やることがない。


 などと俺が悩んでいると、俺の脳裏に緊急事態を告げる赤パトの光が飛びまくった。

 赤文字。つまり、バッドステータス。によるHP減少である。


 見ると先ほど2あったHPが、残り1になっていて、赤い数字に塗り替えられていた。


 ……これって……結構やばくね?


 こういう場合の対処法は……って、考えている暇なんてねぇ! 早く何らかの手を打たないと死ぬ! 異世界に来た早々死んでしまう! 


 焦った俺はところかまわず辺りを走り回る。というか足がないので飛び回る。


 どうする? どうする? どうする? このままだと確実に死ぬ! こういったときの対処方法対処方法はぁ…………そうだ! 俺はあるラノベで、レベルが上がると体力やバッドステータスが回復することを思い出す。


 そして自分の物理無効を思い出し、死亡回避のために先ほど逃げ出した大量の餓鬼どものいた場所へと急行したのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る