ブラックジョーク&ファンタジー

那由多

大冒険? いいえ、ただの観光です。

戦闘開始! 01

 愛って何だろうな? 理系。

《いや、理系の俺に言われてもな......》

(辞書的には、かわいがる。愛しく思う。慈しむ。いたわる 。だけど、人間の永遠のテーマだな、こりゃ)

『《(哲学だな~)》』

 三人の人格が受業中に愛について語り合っている。

 まあ、その中の一人の人格がオイラなんだが。

《おい、語学系、何一人で突っ走ってんだよ、悲しくなるだろうが、俺も混ぜろよ》

(語学系にも色々と考えたい時があるんだろ、特に今日の夜のおかずのこととか)

 確かに、夜のおかずは悩むよな、巨乳にするか、貧乳にするか、ロリにするか、熟女にするか、あ、でも、ブサイクな女優は問答無用で――

『《(却下!)》』

 それにしても、オイラ達 、一人の体に三人は狭くね? やっぱり、一人に一つの人格が欲しいよな、あ、俺の体は超絶美少年を所望します! 出来れば阿●亮、的な。

(阿●亮はどう考えても美少年というよりは超絶ハンサム紳士だろ、語学系。あ、私は船●英一郎な)

《崖が似合いそうな顔してるな、じゃあ、俺は千●真一で》

『(渋っ!?)』

 てか、オイラ達の会話、ピー音多くね? 放送コードをアレしてるのかね?

《俺達に放送コードは通用しねぇ、通用するのは別嬪なお姉さんの笑顔だけさ》

(いや、ここは幼気な幼女の無邪気な笑みも追加しようぜ)

 なら、俺は同級生との甘酸っぱい青春を提示するぜ!

 てか、やっぱり一人の体で三人は狭いよな。

《でもよお、一人が童貞を卒業したら三人が卒業式、性天使という名の校長先生に卒業証書を授与されるからプラマイゼロだろ》

(全員が穴兄弟! 一人で三人に犯される将来の彼女の姿にゾクゾクするぜぇ~)

 おお、確かに! でも、確実に少子化に貢献してまうだろ!

《コンドームつけなきゃいいんだよ! 産もうぜ! 増やそうぜ! 未来の翼!》

(地球は子供達からの借り物です。出来る限り子供を増やして地球の石油を掘りつくしましょう)

 身も蓋もないな、まあ、ナマは最高だからいいけどな! ピルなんて絶対に飲ませないぞぉ~

『《(ド変態だな、俺達......)》』

 いや、ド変態は褒め言葉だろ、オイラ達紳士だぜ? 主に少子化を申告に考えている理的で、文的で、語学的に優れた男爵クラスの紳士だろうが、自信という名の誇りを持ちましょうや!

《そうだよな、俺達は少子化を深刻に考えている紳士だ。足長おじさんならぬ、足長お兄さんだ》

(そうだよな、無駄に身長高くて足長いし!)

『《(HAHAHA)》』

 で、この状況をどう打開するよ?

 ん? クラスメート(優男)の対処についてか?

《いや、優男は語学系に一任したら確実に殺せるけどさ、それ以外、特にクラスのマドンナ(魔法使い)の方の対処が厄介だ。まだ、俺、魔法の原理とか、対処法とかしらないし》

(本屋でそっち系の本を物色しておけばよかったかね? 今回は語学系の吸収力が低かったからな)

 いや、どの国の文字にも似つかない文字を解読したオイラを貶すなよ、まあ、正直、自分でも驚いてるけどさ、この世界の文章の構成の仕方と数字のあり方が。

《相対性理論を完全に理解しろってくらい難しかったからな》

(いや、相対性理論に絶対は無いだろ、あれは曖昧な何かを曖昧に科学してるものだし)

 シュレディンガーの猫ってやつだな。あれは意味不明だ。でも、死ぬ確率は二分の一、生きる確率も二分の一、つまり、コイントスみたいなものだろ?

《それとも違って、色々と質量とか、アレとか、コレとか、色々とややこしいから読者の主軸の中学生、高校生にわかりにくいから専門書を買って読んでくれと説明するわ》

(匙投げるなよ、全文系の少年が泣いたぜ?)

 少年は泣かせろ、少女は笑わせろ、わかるな?

『《(わかる! すごくわかる!!)》』

 なんか、クラスのマドンナ(魔法使い)が詠唱してますぜ、理系の兄貴!

《正直、理系の俺にはさっぱりだ。イミフだ。文系、頼む》

(炎がなんちゃらとか言ってるから炎の魔法なんじゃね? メ●とか、●ラとか、ザ●リックとか)

 なんか、最後は五割で蘇生する魔法入ってなかった? まあ、教会でボッタクられるよりましだけど、MPの消費がマッハだぜ。


「ファイアーボール!」


《流石は語学系、反応力がスゲェな》

 いや、これは俺の力じゃなくて、この体に元々備わってる体育会系という名の属性だ。人格は無いけど、暇を見つけては筋トレしてるよ、だから、俺達いつも、いつまでもシックスパック。

(筋肉むきむきマッチョマンの変態だな)

 違うよ、変態という名の紳士だよ、ロリを性的な目で見ないようにしている戦士だよ。

《よし、あのファイアーボムだか、ボールだかの原理を見破ったから作戦会議するぞ、準備いいか?》

『(予定より早いな?)』

《まあ、理系の性ってやつだよ》

 じゃあ、早速攻略を......。

(ちょっと待て、これ、何でこんな展開に発展したのか全然説明してなくね? いきなり戦闘シーンに入っていいのはアメコミだけだと文系くん思うんだけど)

 えぇ~でも、今から一ヶ月前の色々な事件を語りつくしたら多分、ライトノベル一冊分くらいの量になるぜ?

《でも、読者の心を掴むにはそうするしかないだろ、後ろに居る猫人族の少女のこととか、なんで優男と敵対してるとか、なんで理系、文系、語学系、一応、体育会系も含めてこうなったのかを》

 ごもっともで怖い限りだ。流石はみんなの先生理系くん。

(じゃあ、どこからはじめる?)

 そうだな、まあ、この世界、異世界に飛ばされる一時間前くらいでよくない?

《まあ、妥当な時間配分だな》

(妥当過ぎて、スパイスが足りなくない? いっそのこと、私達が母ちゃんの親父専用だった乳を吸った頃までせつららに語り明かそうぜ!)

 いや、母親の胸のことを熱く語る息子とか激萎えだわ、母親系のビデオは趣味じゃないんだよ。

(実は私も何だ)

《気が合うな、俺もだ》

 まあ、

(私達)

《三人+肉体で一人》

『《(同一人物だもんな!)》』

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