嗚呼、かくも楽しい(厳しい)投稿生活

言うまでもないことだが、小説に関わる人でいちばん多いのは読者である。
投稿者はそこから大きく数を減らし、受賞者はさらに少なくなる。
デビューして、小説を生涯の仕事として生きることができた人となると本当に数えられるくらいになってしまうだろう。

だからこそ小説家のライフスタイルはレアという点で商品性があるのだが、ゆえに見落とされがちなのが投稿者のライフスタイルである。
受賞やベストセラーといったわかりやすいゴールがないので作品化しにくいが、ふと気づくと、ネット上の投稿サイトの隆盛により、読者の多くが投稿者であるような世界がさらに前景化してきた。

他ならぬカクヨムがまさにその一つなわけだが、小説というのは読んでも面白いが書いても面白いものである。
ことによっては作品自体よりも書いている様子の方が面白いかも……となるのが皮肉な事態ではあるのだが、本作にはそんな悲喜こもごもが詰まっており、今の時代だからこそ共感できる部分も多くなっているだろう。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=村上裕一)

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