第一章 活動開始

小説を書き始めた理由

 小説を書き始めたキッカケは、人によって色々あると思いますが、ここでは自分のケースを紹介します。素人の分際で深く語るのは気が引けますが、よくよく考えてみれば、自分について語るのがエッセイですよね。怖がっていては何も生まれません。


 そもそも小説を書き始めたのは、今から9年前の秋で、当時は北京に住んでいました。

 何故北京にいたかというと、日本で最初に就職した会社があまりにもブラックで脱落したとか、その後発展目覚ましい中国で成功を掴もうと思って留学したとか、まあそんな感じの理由です。留学期間が終わって学習ビザが切れた後は、香港で半年有効のFビザ(マルチビザ)を取得して再入国し、北京の片隅で細々と求職活動を始めました。せっかくだから現地で働こうと考えたのです。

 しかしながら、仕事は一向に見つからず……。

 それもそのはず、自分は極度の人見知り。面接の受け答えなんて日本語でも難しいのに、それを英語と中国語で自在にやってのけるなんて、昭和のファミコンゲーム並みの難易度です。若い方々はご存知ないかもしれませんが、初期のファミコンソフトは悪意を感じるレベルの難しさで、常人にはクリアできないのが普通でした。

 それはさておき、面接で失敗を続けるうちに、こんな思考が頭の片隅をよぎります。

「海外で求職活動なんて、そうできる経験じゃない。このネタでエッセイを書いて、作家を目指すのはどうだろう?」

 我ながら、名案だと思いました。

 しかし現実は厳しいもので、エッセイを募集する新人賞は、実はほとんど存在しません。その代わり検索にヒットしたのが、ライトノベル・レーベルの新人賞。毎月どこかで締切があるらしく、いつ原稿が仕上がっても、投稿先に困ることはなさそうです。

「よし、それじゃラノベを書いてみよう!」

 そもそも小説を書き始めたのは、今になって思い返せば、そんな軽いキッカケからです。

 ただしキッカケは軽いですが、外国語の面接に苦労していたせいもあり、日本語を思いっきり使える執筆中の解放感は格別でした。そもそも自分の趣味は日記書き。文章を書くのは昔から大好きなのです。


「日本語を思いっきり使いたい」+「求職中で時間に余裕がある」+「文章を書くのはすでに日記で慣れていた」。

 この三つの要素が偶然重なって、自分の創作活動は始まりました。

 北京オリンピック開催の前年、2007年の晩秋の出来事です。

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