教訓から話を考える【アイデア・プロット】

 よく童話や昔話は何らかの教訓を伝えていると言われています。

 今回は、逆に教訓から何か話が考えられないかやってみます。

 まず、その教訓自体が思い浮かばないといけませんね。


 というわけで、今回のテーマは「行き過ぎた快楽は身を滅ぼす」というような麻薬・ギャンブル・ネトゲ等の依存症についてを書いてみます。

 しかし、そのままの題材では、なかなか話が思いつきませんね。

 思いつく方は、依存対象についてをそのまま書いても良いかもしれません。


 今回は題材を少し組み合わせて考えてみました。

 例えば「麻薬が薬ではなく人間・映像だとしたら……」ということで、麻薬人間・電子ドラッグという感じで話を広げてみます。

 まずは、前者の「麻薬人間」について書いていきます。


起:いつの間にか、主人公は周囲の人間に多幸感をもたらす麻薬人間になっていた。(原因は不明でも、本人がクスリか脱法ドラッグを決めていたかでも可)


承:周囲の人間を幸せにできるといえば聞こえは良いが、次第に周囲の人間は主人公に対して依存し始める。より深い刺激を求めようと、密着してきたり捕らえたりする人物も現れた。


転:宗教施設に逃げ込み、教祖に匿われる。それから神様扱いされ、様々な人間に功徳と評して多幸感を与え続ける。しかし、完璧に信者をコントロールすることは出来ず、内部で抗争が巻き起こった。


結:存在自体が麻薬と化していた人間は、存在自体が違法行為であるとみなされ、宗教施設を出た途端に射殺された。それが正しいことであったのか、未だに議論が続いている。


 ……また死亡エンドになってしまいました。

 後は「存在自体がアウトなので殺しました」というのは、現代社会では突拍子もなさすぎる終わり方だったなぁと思いました。

 もう少し、説得力を感じさせる構成にしたほうが良いかもしれません。


 えぐい終わらせ方でいうと、箱か部屋に閉じ込められて生かされ続けるというのも有りですね。しかし、これは「その人間が存在するという概念自体が依存を引き起こす」のか「その人間の発する呼吸や代謝に麻薬効果が含まれるのか」にもよりますね。どっちかの設定をきちんと選んでおくと良いかもしれません。


 あるいは、オカルト要素を含んで「主人公が何らかの呪いにかかって麻薬人間になった」という設定にすれば、その呪いを解いて解決でも良いですね。

 こちらはホラー小説として使えるかもしれません。


起:脱法ドラッグを売って生計を立てていた主人公。

  しかし、何故か麻薬人間へと体が変わってしまう。


承:周囲の人間が襲ってくる。これはまずいと部屋にこもって原因を考える。

  もしやと思ってネットニュースを見ると、主人公の地元で脱法ドラッグで死んだ被害者がいることを知る。その人間は、ドラッグを売りさばくために誘った知人だと分かった。許してもらおうと、家族を訪ねて墓の場所を調べる。

  

転結:主人公は墓に向かって土下座して謝る。そこに、被害者の幽霊が出てきた。

「いいよ。……私以外の人が許してくれたら」

 主人公が後ろを振り返ると、そこには以前クスリを売った相手がいた。

 彼らに囲まれて……

 

 こちらは法で裁かれない人間を違う方法で裁く、人を傷つける商売をした罪を身をもって償うという勧善懲悪なストーリーとして良いんじゃないでしょうか。

 巻き込まれた人間にとってはたまったものではありませんが。

 

 この「麻薬人間」というテーマ一つで、いろいろ書けそうですね。

 ちょっと系統が違いますが、麻薬自動能力を薄めることでサキュバス・インキュバスのように異性から好かれる能力を持っているとすれば、うまくハーレム的な話にも使えそうだと思いました。


 さっきから死亡落ちしか書いてないので、ハッピーエンドも考えたいですね。

 無理やりハッピーエンドにするなら、捕らえられて薬漬けされて幸せ落ち、この麻薬人間はウイルスによるもので麻薬病が地球に蔓延して廃人エンドあたりが思いつきました。どちらともろくなものではありませんが。


「世界中の苦痛を取り除こう、麻薬病でみんなハッピー☆」


 ……という、狂った設定と文体で書いてみても面白そうだと思いました。

 自分が麻薬病にかかったことを理解して「それを広めれば人類を幸せにできる」と洗脳されるところまでが病気であり、それは宇宙人の策略だったとかでしょうか。行き過ぎた幸福は、必ずしも幸せとは限らないというのも教訓ですね。


 タイトルは「苦痛なんてない世界」という軽めのものが合うかもしれません。

 実際、書けるかは怪しいですし、書けないとは思いますが。

 しかし、動画映えしそうなテーマではあると思いました。


 このように、教訓から話を考えるのも広げやすいですね。

 あまり堅苦しくなり過ぎず、うまく比喩表現を使っていければ良いんですが。

 後は、一つの教訓だけではなく、複数のテーマに合った教訓を組み合わせて考えてみるのも楽しいですね。是非、皆様もお試し下さい。

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