自分の相方は"てんさい"と呼ばれています

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始まりの戦場事

「倒しても倒してもキリが無さすぎ!」


 そう大きく荒げた声を発している人物が一人。


 その人物はといえば、身長とほぼ同じぐらいの長さの長剣を、まるでそこらの木の枝を振り回すかの如く振り回しながら、鎧甲冑に身をまとった兵士たちの破壊しては、青く広がる大空へと吹き飛ばしていた。


 

「そりゃ、は戦争してるからね、相手もに必死だし・・・」


 そういう自分はというと、大剣を振り回している人物の脇で、自分たちへと迫りくる飛び道具の類を魔術の防壁で防ぎながら、先ほどから「あいつは違う!よし!」と、相手を指さし確認してから、いつもの様に武具を壊しては大空へと吹っ飛ばしていく人物へと言葉を返す。



 その行動は、本当に器用なものと感心を通り越して、半ばあきれてしまうぐらいで、吹き飛ばされた相手はみな、口から泡吹いては地面に口づけをしながら寝ていたりしている。



 そんな大剣を片手で振り回してはフッ飛ばし続けている人物が、徐々に徐々に不穏な雰囲気を感じ始めていた。



 これはアレだ。



 同じ事を繰り返して続けて、飽きがきた時の苛立ちともいえる感情が漏れ出してきたといった方が良いのかもしれない。



 そろそろ飽きない様にする為の次なる手を打たないと無理かな?と思っていた矢先



「もうめんどくさい!!思いっきりやる!あとは知らない!!」

「えっ?ちょ!!ま・・・」





 その言葉が聞こえて、急ぎ静止しようと声のした先へ振り返ってみたが、その相手はというと、その場からはとうに消えさり、さらに、その消え去った先と思われる方向では、空に飛ばされては倒れ込む人の山が形成され始めていた。



 なにせ、その進行方向と思われる上空に、一人ずつ飛ばされたいたモノが、二人ずつ、三人ずつ、そして四人以上と、徐々にその数が増えていき・・・


 どうみても味方としている赤い布を巻いた兵士たちも含まれている恰好となっており・・・



 って、敵味方関係なく空に吹き飛んで・・・る・・・?



「移動した方向がはっきりと解るのがせめてもの救いだろうかな?というか、あれだけ赤い布をまいていない相手だけって言ったのに・・・、この後始末って、誰がするんだろう・・・」



 最後には率直な本音を漏らし、それでも宙に舞っている人たちの腕には赤い布を巻いている鎧甲冑の人と思しき人たちの数が、混ざりだしているのが見えてしまうと、もうその行き先を見ていたいとは思えなくなってくる。




「うん、自分じゃない事を祈るよ・・・」




 希望的な言葉を発し、おなかの中央あたりからキリキリとした痛みを感じながら、巻き添えにならない様に消え去った方向とは逆となる、味方陣地の方へとその身を隠すように移動していった。





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