AWAKENING

「もしもし~~祐梨!?」

嫌な予感がするのを抑えて、スマートフォンのスピーカーボタンを押すや否や、同時に親友の小鳩菖蒲の甲高い声が飛び出して来た。

まるで眼の前に賑やかしいあの子が居る気がする。



「モォ~朝っぱらから五月蝿い菖蒲ェ!」



あたしも負けずにがなり返す。

まったく女子高時代から何も変わってないなぁ、あたし達ふたり。


「だってさぁ・・・」


「だってじゃない。何の用?」


「だって、祐梨がピンチみたいだから直ぐ電話してやってくれって、エージェントのLINDAさんからついさっき電話があったんだもん。」


「なんでそのLINDAの奴が自分で掛けてこないのよ!?」


「英語苦手だからよろしく頼むって・・・」


「エージェントでしょおがッ!!」


「わたしに言わないでよ!」


「そりゃそうだけども・・・で何?」


「だから祐梨、人喰い人種に追いかけ回されたんでしょう?」


「誰がだーっ?!」

全くどいつもこいつも・・・


「え、違うの?」


「ま、殺されかけたのには違いないけどね。」


「ちょっと、大丈夫なのォ!?」


「2代目"CANDY HEART"を見くびらないでよね。かすり傷一つないわ。」


「ホッよかったァ?海外保険掛けてないもん。」


「オィイーーッ?!」

あたしは握り拳を宙に振り上げた!


「じゃ海外電話代勿体ないから切るね。ブツッ」


「ちょ、ちょっと菖蒲ッ?(ツーツーツー)って切れてるし。あいつめェ~(泣)」



結局、現実世界に無理矢理連れ戻された可哀想なあたし(こればっか)。


トレジャー・ハンターという夢のあるヒーロー稼業も楽じゃないのは、皆様にも十分お解り頂けたことと思う。。。





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