英雄に憧れた少年

第1歩 『少年』

 王宮都市から離れた辺境の地に少年は生を受けた。

村では、珍しくない銀髪に、灰色の瞳。


 両親に見守られながら、何不自由なく彼は育っていった。


 少年が4歳の誕生日を迎えた日だった。

彼は不慮の事故により、父親を亡くす。

家を飛び出した彼は、その前日の雨により氾濫していた川の流れに巻き込まれた。


 肺の中まで水が入ってきた。

少年は齢4歳にして、死を覚悟した。

その時だった。

少年が【英雄】を見たのは。


 川に飛び込んできたのは、40代半ばの男だった。

彼は少年を助け、川岸に引き上げた。


 見守っていた人々は彼を英雄と讃え、少年の無事を喜んだ。

少年は、自分を救った男を見つめ、そして子供心に思った。

 こんな男になりたい、と。

人を助けられるような、そう、【英雄】になりたいと。


 

 時は流れ、少年は15歳になった。


 ここより、彼の冒険は始まる。



 少年は名を〖レイ・ヴァルチェス〗という。

その名前が、伝説となるまでの物語。




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