第21話 2昔前ならアッシー

「今日、仕事は定時で終わる?」

 彼女からのメール。

「いや…残業」

「だよね…」

 自宅に帰り、シャワーからでると…

「今から出れる?」

「どっか送ってほしいの?」

「うん」

 近くだと思ったのだ…。

「ごめんね~嫌だったよね~」

 言いながら、顔はニコニコしている。

「はい…豆乳」

「うん」

「今週逢えないでしょ…どうしても逢いたかったの…」

「うん…どこに行けばいいの?」

「隣の市」

「近所じゃないの?」

 コクリと頷く彼女。

「ローソン寄る…」

「時間大丈夫なの?」

「大丈夫」

「あ~、コレハマってるの~」

 彼女が、きゅうりの浅漬けを手に取る。

「でも…麩がない…」

「何が無い?」

「麩!」

「ふ?…って、お麩のこと?」

「お麩団子」

「お麩の団子なんかあるの?」

「ある…けど、ここには無い…他のローソンに行く」

「時間大丈夫?」


「ココにはきゅうりが無い…」

「さっき買えば良かったじゃない」

「1件、1件でポツポツ買ってると怒ると思った」


「あのね…僕は昨日、車検だったんだよ…13万払ったのね…今月お金無いんだよ」

「うん…アタシ21万払ったことある」

「財布の中、3千円しか無いからね…今」

「あのね…100円玉欲しい…3枚ない?」

「2枚あるよ」

「うん…欲しい」

「うん…僕ね、2週間3千円で生きてくつもりなのね…」


「一緒に、おにぎり食べながら行く」

「俺…夕食食べてきたけどね…無理にいらないけど…なんで一番大きいヤツ買うの?」

「季節限定…」

「うん、隣の小さいので充分だよ、僕は…なんなら、いらないけど」

「コレ…限定」


「おにぎり食べて…」

「うん…」

(でかいって…おにぎり…焼肉だし…重いって…)

 半分ほど食べて、彼女に手渡す。

「辛い!」

 まさかの1口で…返却である。

「食べた?」

「食べた…辛い…食べれない」

(だから…隣の小さいのにしようって…)


「送ってくれてありがとう…今週末逢えないと思ったから…ごめんね」


 後13日…2000円で暮らせるか?…桜雪よ…それは彼女の呼び出し回数に掛かっているのだ。

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