第3話 レビューを見た

 ある日のメールと電話の会話である。


「アタシ嫌われてない?」

「ん?」

「レビュー見たの、読んだの、嫌われてない?酷くない?」

「一般的な目線から見ると、少々レールから外れているというか……」

「オカシイの?アタシの行動?」

「うん?変わってるというか、一般的ではないかな」

「どういうとこが?」

「ん?他店の食べ物を持ち込むとかね、普通できないよね」

「ソレダメなの?あっ!あのね、この前、友達と怒られた」

「持ち込んで?」

「コンビニのフードコートで」

「前も言ったじゃない……」

「今度からやらないよ」

(怒られて学べよ、常識を……)

「アタシ馬鹿だから、遠回しに言われても解らないんだよ~」

(俺より学はあるでしょ~)


「あのね~、ココはね大丈夫なんだよ。ココのフードコートは持ち込みOKなんだよ」

「ホントかよ?」

「だから、今日は節約しよ!コンビニの弁当1個だけにして、お菓子食べる。クッキー持ってきた」

「で、ココで食べる」

「お金使わせ過ぎだからね、節約しよ」

「あっ!クレンジング忘れた?買っていい?」

(節約……?)


「豆腐好きでしょ!持ってきた」

 魔法の鞄だな……。

 迎えに行くと、家出するの?ってくらいの荷物を持ってくる彼女。

 袋からは豆腐も納豆も豆乳も出てきます。

 豆以外も出ます。

「豆腐、美味しい?」

「うん、俺、外で豆腐食べるの初めて……」

「思い出だね♪」

 嬉しそうに私を見る彼女の斜め後方に張り紙が……。

『他店からの持ち込み飲食お断りします』

 じっと見ていると、彼女が、ん?という顔で私の視線を追いながら後ろを振り返る。

 ちょっと小首を傾げながら、私の顔をみると

「違うんだよ~、知らなかったんだよ~、騙してないよ~」

「いや、あのさ~持ち込み飲食ってさOKって書いてない限りはNGだからね」

「怒られたことなかったよ」

「いや、違うんだよ、基本的にダメだから何も言わないんだよ、察しろってことなんだよ」

「ごめんよ~、嫌いにならないでよ~」

「あのさ、後じゃダメなのアイスとか店でてから食べればいいじゃない?」

「嫌なんだよ……でも考えるよ、嫌われたくないから」

「俺が嫌いとかじゃなくて、一般論としてさ1店舗で食事完結しないかな?」

「でも、美味しいモノ食べてもらいたいんだよ、食べたいんだよ、デザートはコレがいいし、アソコのお店も行きたいし」

(姫か?アントワネットか?)

 彼女の食生活は、デザート食べて、ごはん食べて、サプリ飲んで、漢方飲んで、デザート食べて、胃薬飲んで、デザート食べるのである。

「デザートが無い店もあるじゃない」

「いや、だからといって持ち込むって発想がさ~」

「減らしてるじゃん、考えてるよ、アイスだって2個にしてるし、我慢してるんだよ」

(褒めれねぇ~、その努力、褒めれねぇ~)

「じゃあ、もうしないよ~、でも初めてのケーキ屋さんではさ、ちょっと多めに買いたいよ、そこは許してほしい」

(譲らねぇ~、その姿勢、譲らねぇ~)

「自分の金で、自分の部屋で食べるぶんには文句言わないよ、けどね、俺の金で食いきれない量買うのはやめて」

「うん、でも来月のマンゴーデザートは絶対一緒に食べようね、あっ、その時、台湾料理行く?なんかサッパリしょっぱいの食べれば、甘いの食べれるんじゃない」

(フードファイターの苦肉の策?)

「あのさ、ケーキを割り勘で食べれる友達、探してくんないかな?」

「う~ん、嫌われそうな気がするんだよね~」

(自覚あるのに……なぜ?、俺だけに過酷な試練を……)

「あのさ、俺の胃袋と財布に優しくなってくれないかな?」

「うん♪」

(解ってるのかな~、胃薬あるから大丈夫!的な発想が間違えだって気づいてくれないかな~)

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