デスゲームという極限状態

全校24クラスのうち、生き残れるのは8クラス。
「エゴイスト」たちは、学校じゅうが殺し合うよう仕向ける。
逃亡を禁じ、死者が出ない場合にはペナルティを課し、
12時間に1度、各クラスから生贄を献じさせる。

自分のクラスだけは必ず守り切るために、
知恵を絞り、策略を練り、行動に移す。
「エゴイスト」は何者なのか、何人いるのか、
その目的は何なのか、まだ謎は解けない。

デスゲームというテーマを好きかと問われたら、
私はハッキリ「嫌いだ」と答える。
裏の裏を掻き続ける心理戦や頭脳戦が好きかと問われたら、
「基本的に嫌いだ」と答える。

誰にも感情移入できない、異様なストーリーたった。
それでも最後まで読まずにいられなかった。

私には想定すらできない絶望的なゲームを、
作者様はどんな結末に落とすのか。
登場人物たちは何を考え、どう行動し、
なぜさしたる躊躇も見せず武器を取るのか。

結局のところ、私は残酷な気持ちで、
誰が誰を殺すのかを知りたかったのかもしれない。
人が簡単に死んでいくさまを
見たかっただけかもしれない。

だって、デスゲームという形ではないけれど、私も、
「死ぬべき時には人は必ず死ぬものだ」と、
容赦のない歴史小説やファンタジーを書く。
「実は生きてました♪」みたいなぬるい設定が嫌いだ。

人は誰しも、多かれ少なかれ、死を見たがる心理を持っている。
小説だったら、虫を殺すのよりもずっと安全だ。
自分の命が危機にさらされる必要はまるでなく、
血や肉片が飛び散る残虐な映像すら見る必要もない。

だから、読んでしまうのだ。
嫌いなはずのデスゲームのミステリーを、最後まで。
特に痛みを感じることもなく。
よくできた小説だと、感嘆さえ覚えながら。

その他のおすすめレビュー

馳月基矢さんの他のおすすめレビュー353