第4話

〖第二章 吉川きっかわ家に伝わる宝〗


中間テストも過ぎ今は十月。

あれから弱く同じ顔のしたタクティスは何体か倒した。

地下にも行ってみたがそこにもタクティスはいなかった。

未だタクティスのボスのドラグレスとは戦えず炎しかつかえないでいた。

とはいってもさくらみたいにまだまだ使いこなせてないけど・・・・・・。

桜に頼りっぱなしも良くないよな。

俺も新たな何かを発見しなきゃな。


学校では文化祭のシーズンだ。

中学校でありながらうちの学校は毎年行っている。

うちのクラスは王道なお化け屋敷をするらしい。

どんな感じのお化け屋敷にするかの話し合いをしている。

「お化け屋敷やるけどどんな感じにやる?」

クラス委員長が問いかけるとマシンガンのように意見が飛び交った。

「メトロ風」

「親父風」

「お祭り風とか海風」

「馬鹿なこと言わないでよ。お祭り風や海風で怖がらせるって難しいし大量の水を入れるのは厳しいよ」

などとバカバカしい答えにもしっかり対応している。

さすがルーム長。

「えーと。じゃあ。神社がいいなあ」

「神社が良いという案がありますが、それ以外に何か案はありますか?」

「「「神社がいいでーす☆」」」

満場一致だった。

「多数決により神社風で決まりね」

と、神社風で決まり、役割など費用など決められることは決めて今日は終わりとなった。


太陽たいよう。役割何になった?」

夏美なつみが教室の隅から走ってきた。

「なっちゃん教室で走らない」

委員長に怒られた。

「ごめん、ごめん。それで太陽は役割何になったの?」

「俺は音源だ」

夏美は今朝咲いたばかりのアサガオのようにパァーと笑顔が咲いた。

「私も音源。一緒だよね」

うちのクラスは男子十五人、女子十五人の三十人のクラスだ。

だから役割分担を決めるときには男女別々になって話し合いをして決めるのが普通になっている。

カップルとかはズルを良くしている。

「ヨロシクな」

「おぉ。お、ペンダントつけてくれたのだね。ありがとね。そういやその宝石ってよく見ると人型のリザードマンか何かが中にいるように見えるよねえ」

良く見ると本当にそう見える。

このペンダントは今後重要となることは誰も知るよちもなかった。


 《放課後の宮殿。》


夏美は部活をやっているので最近は桜と帰っている。

「お化け屋敷の係りなにやるの?」

「音源だよ。音源って音楽を確保して当日流すだけだろ?」

夏美とはちがい桜の顔には笑顔が咲いていないように見えた。

「そうだよ。ちょっと楽だよね」

「俺的には楽で嬉しいのだかな」

「何で?」

「最近いろいろな事がありすぎていろいろ追いつかないからな」

冗談をいったつもりだったがあまりにもデリカシーがないことを言ってしまったと心の中で反省した。

「ゴメンね。私があの時、開けよう何て言ったから」

桜は申し訳ないという顔・・・・と、いうより何かを思い出し悲しんでいるような顔をしている。

「何で謝るんだよ。俺も開けたいって思ったから開けたんだ。謝るならタクティスのせいで命を落とした方々に謝らなきゃな。これからも犠牲者を増やさないように頑張ろうな」

「うん。でも今は文化祭も頑張ろうね」

拳を高々に上げた。

「そうだな。それで桜は何するのだ?」

「私はお化け役。タイちゃんも脅かしてやる。ワァァァアアア。怖かった?」

「うん。怖かった」

「ひっどーい。あしらわなくても」

桜は頬を膨らませる。

たわいのない会話が続いていたがいつも分かれる家の近くに来たので今日も別れた。


 《放課後の宮殿。》


家に着くと明かりがついていた。

モコは先に帰っていたみたいだ。

「たっだいま」

モコが来てからは家ではテンションを上げるようにしている。

「お帰りなさいです。Père《お父さん》は今日も遅くなると言ってましたです」

「ありがとうねモコ。そうだモコは何の係りになったのだ?」

「受け付けになったです。客寄せパンダだから頑張ってね☆って言われたです。どーいう意味です?」

可哀想だが客寄せパンダなのは俺も分かる気がする。

モコがいれば男の客はいっぱいくるだろ。

「モコ。この世には知らなくて良いこともいっぱいあるんだよ」

そう言って自分部屋へと向かっていった。

「どういう意味です? 太陽さーん」


 《放課後の宮殿。》


文化祭まで残り三週間。

俺の担当の音源を終わらせようと思い夏美と一緒に考えている。

「どんなのがいいかなあ? 貞子とか?」

「それはありがちすぎる」

など、かれこれ三時間はこの状態。

二人ではなんともならないのでモコと桜を呼ぶことにした。

「どんなのがいいと思う?」

「えーと。曲ではなくて音で怖がらせる方が怖いと思うです」

「私も、私も。お化け屋敷の音は怖くて毎回泣いて出てきちゃうよ。たまに店員さんからありがとうって言われちゃうよ」

桜は怖がりなんだな。

「桜は夏美と違って可愛いな」

「どういう意味よ」

夏美は太陽の頭にチョップを入れた。

「だって夏美はお化け屋敷に入っても全く怖がらないでお化けにお疲れ様でーすって言っちゃうもんな」

「そ、それは・・・・・・」

夏美の赤面は凄かった。

トマトのように赤かった。

「夏美さんはお化けとか大丈夫なのですかです」

「本当にお化けがいるとしたら怖いけど作り物だと思うと怖くないかなぁ。不意打ちにやられるのはさすがにビビるけどね」

そう言ってインターネットで《夏 怖い 音源》と調べるとヒットしたのがあり、それを聞いてみると桜が泣き始めたのでこれを使うことにした。

よくあんな怖がりでタクティスと戦えるよな。

尊敬します桜様。

音源が決まった後みんなで遊ぼうと提案されたが俺は用事があると言って帰った。

とくに用事はなかったが女子三人と男子一人はちょっぴりいづらかったっていってもいつも四人なのだが、夏美に言われた

「ペンダントに人がいるように見えるね」

という言葉が引っかかったので調べようと思った。

しかし、俺は重要なことを忘れていた。

家で力を使うと家が吹っ飛ぶかもしれないことだ。

桜みたいに魔法が使えるならまた別だと思うが、俺にはまだ使えないのでやめておいた。


 《放課後の宮殿。》


 それから数日が過ぎ、文化祭本番の前日となった。

作品は完成して大盛り上がりだ。

明日がみんな楽しみなのだろうが俺は正直乗り気でない。

何て言えないほどウカウカしている。

そんなウカウカした気持ちを忘れさせるように久しぶりにドラグレスが現れた。

ドラグレスは服を着ていた。

出現場所はうちの学校でうちのクラスだ。

何て災難なのだ。

あいにくお星さまがきれいに見える時間で学校には誰もいない。

戦うには良い時間だったがあまりここでは戦いたくないと思う。


 しかし、戦わなければならない。

学校のためにも明日の文化祭を楽しみにしている俺やクラスメイトのためにも最小限にとどめられるようがんばろう。

「ってまだ桜は来ないんかい。どうしよう。そう言っても戦う以外選択肢はないよなあ。まあ試したいものもあるしやってみるか」

少しびびってたが俺は戦う。

ドラグレスの前に出て来た。

「アーカイブの記録を頼りつるぎよ我に力を」

緑色の光に包まれ聖剣が現れた。

「なんだザコだけか。まあいい。俺の名はギガントスだ。水属性の支配者だ。ザコを相手にするのは面倒だかザコの中のザコのお前なら簡単に倒せるわ。遊んでやることに感謝するのだな」

「あんま俺を舐めない方がいいぜ」

太陽はそういうとただただ思いだけの剣に赤い石をセットした。


「アーカイブの記録を頼り火の精霊よ我に力を解き放て! 火龍ファイヤードラゴンよ我とともに戦え!」


今度は赤い光に包まれ剣から炎が出てきた。

やっぱり新しい衣装は新鮮で嬉しいわ。

「ふん。そんな程度の火か。その程度なら俺の水で消してやる。」

ギガントスは口から水を吐き教室は瞬く間にびしょびしょとなった。

この水が口から出て来たものだと思うと気持ち悪い。

ダンボールで作った壁などはすぐにふやけ使い物にならなくなってしまった。

「ふざけんな。苦労して作ったものを」

「悔しいのなら俺を倒すのだな。まあお前には無謀だけどな。わははは。」

苦労して作った社やしろなどがびしょびしょになってしまったのは悔しいが、今はギガントスとの戦いに集中しなきゃ。

多分、桜が、この『びしょびしょ』になったセットをどうにかしてくれることを信じた。


太陽は少し引っかかっていたことがあった。

火は水に負ける。

水には何なら有利になるのか。

ゲームの世界とかなら水は火に強く草に弱いというのが定番なのだが、俺に草の石は・・・・・・あるじゃん。

ふと太陽は気づいた。

それは夏美とモコの言葉だ。


「夏美の言っていた「人型の龍リザードマンか何かが中にいるように見えるよねえ」って言うことはモコが言っていた「確かもう一つ封印されたと思うです」ともつじつまが合うじゃねーか」


そう思い太陽はやってみた。


「アーカイブの記録を頼り草の精霊よ我に力を解き放て! 緑の|龍(ドラゴン)よ我とともに戦え!」


緑色の光に包また。

そして太陽は衣装を着ることができた。

右胸には《風》と大きく書いてあり、炎を纏った姿だ。

右の腰あたりには緑龍サイクロンドラゴンの顔がありめちゃくちゃカッコよすぎだ。


緑だから草と思っていたのだがどうやら風のようだ。

風は水に強いのか。

「もしかして今まで緑色の光に包まれていたのってこれがあったから?」

「多分そうだと思うです。多分緑の石に剣が反応していたと思うです。でも龍を呼んでいたわけではなかったので出てこなかったのだと思うです」

後ろにはモコの姿があったが全く気付かなかった。

「いつからそこに?」

「初めからいたです」

モコは心から悲しい顔をしている。

「ごめん。気づかなかった。てか、変身した―――――」

「あーもう。うるせーな。赤でも緑でもいいから早くかかって来いよ。来ないならこっちから行くぞ」

「ごめんモコ。話はあとで聞く。安全なところに隠れてて」

太陽はそう言って戦いに走った。

「太陽さん・・・・・・今のままでは勝ち目がないです」

この言葉は太陽には聞こえていなかった。

「くらえ」

太陽の攻撃は大振りで、ギガントスは少し身を引くだけで攻撃を避けることが出来た。

キン。キン。キン。と聖剣と水剣の当たる音が校内に響き渡る。

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