第42話 2087年12月29日 シドニー連邦 サウスビクトリア州 メルボルン市 松本家宅
メルボルン市の高層コンソーシアム住居 D棟3524号室の松本家宅 広い窓からはポートフィリップ湾の眺望
薄い箱の荷物と大きな段ボールを下ろしては、花彩の部屋をノックする、歩美
「花彩、コンシェルジュさんが荷物持って来たわよ」
花彩、不思議顔で
「その二つですか、誰でしょうね」
歩美、花彩に薄い箱の荷物の方を手渡す
「ローマじゃないわね、ニューヨークみたいだけど」
花彩、送り状を見ては
「ふむ、送り主はhitotubashi mikuriさん、美久里さん?」
歩美、感慨深く
「あら美久里さんって、私の知ってる美久里さんで良いのよね、この前チリ州で会ったとかでしょう ああ、低温治療タウンから漸くか、本当に長かったわね」
花彩、得意気に
「ええ、もう元気ですよ、電磁銃バンバン撃ったり、投げ飛ばしたり、相手を捲し立てたり、ロマンスがあったり、それはもう大活躍、私もかく有りたいです」
歩美、溜め息も深く
「いやいや、ちょっと待ちなさい、大凡の話は聞いたけど、そのバンバンにドンって、またなの、大体寄宿舎の同意書にそんな物騒な条件書かれていないでしょう、危険な事ばかり後付けで話されても、なんなの一体」
花彩、頬笑んでは
「同意書規約補項14条:ローマ参画政府委託条項 ローマ参画政府個別委員会の合意の下、如何なる招集にも応ずる事との事です」
歩美、目を見開き
「何よそれ、補項って、そんな物騒な事書いてるの、」
花彩、微笑
「ええ、どうにでも取れますね でも全部人助けですよ」
歩美、嘆息しては
「もう、幾ら人助けとは言え物騒ね、ラテラノ大学学費免除だからって、どうしよう、今更メルボルン大学に編入もどうなのかな」
花彩、思案顔で
「いいえ、渕上さんが別れ際に言ってましたよ、もう私の進路も決まってるとかです そうですね就職先をちょっと知りたいものです」
歩美、不意に
「絶対怪しいわ」
花彩、微笑
「取り敢えずは図書館書士からみたいですけど、どこの図書館でしょうか、さてどうなるんでしょうね」
歩美、訝しんでは
「ちょっと、取り敢えずはって、どうあっても危険なんでしょう、最終的に死んだらどうするのよ」
花彩、破顔
「最近では実弾も見えて来ましたので、大丈夫ですよ」
歩美、軽い目眩しては
「ああ、既に見てるのね、もう私を追い越しそうね」
花彩、不思議顔で
「ん?」
歩美、ただ首を振っては
「いや、気にしないで、うちの家系ってそうなのよね」
花彩、嬉々と
「難しいお話は置いておきましょう、さてお荷物は何でしょうね」薄い箱の荷物を開けては中身を広げる 薄い箱の中には梱包された、リペアされるも新品同様のmacbookーplainのパッケージ
歩美、驚嘆
「おおお、まさかのアップルのノートブック、本当薄いわね、これ本当にパソコンなの、こんなお宝をなんて、花彩、返しましょう、」
花彩、梱包解くも
「ふむ、でも請求書は有りませんね、そしてメッセージカードですね」一瞬でメッセージカードを読み伏せる「美久里さんの伝手のモニターテストみたいです、問題も無かったら半年後には私に提供される様です あと何かギフトカードみたいなものが有りますが、これがパラレルインターネットの無期限パスポートのですか、成る程」
歩美、只目を見張り
「ちょっと、美久里さん、何でこんな高価なものばかり花彩に送ってくれるの、いくらモニターでも至れり尽くせりよ」
花彩、容易くも
「それは、私が学生との事です」二度読みも、一瞬でメッセージカードを読み上げる
歩美、メッセージカードを取り上げ、一瞬で読み解く
「ふー、確かに書いてるけど、一橋財団の奨学生制度に推薦して、選奨されました、高等教育の一貫ですって、それなら頂けない理由も無いわね」
花彩、いよいよ大きな段ボール箱開いては
「ふむふむ、こちらは端子一通りのハブですか、1世紀分は有りますかね、見た所、おじい様のメモリの差し口も有りますね」
歩美、感嘆しては
「これ見た事あるわ、ラボレベルのhubドックよ、個人が持っていいの、」
花彩、淡々と
「ほら私、奨学生ですからね」
歩美、呆れては
「卒業されてからの返却も結構ですって、もう何がなにやらね」
花彩、破顔
「お礼状は、お母さんも書いて下さいね、美久里さん喜びますよ」
花彩、macbookーplainと巨大hubドック繫げ、手持ちのメモリと早格闘3時間
「何でファイル開かないんだろ、パスワードはターミナル見たけど、有る事は有るのだけど、さて何でしょう」
歩美、再び花彩の部屋に飛び込んでは
「やっぱり、大格闘中ね それより花彩、お昼よ、ラザニア食べるでしょう」
不意にmacbookーplainの画面が見る見る展開
花彩、不意に
「ほー、お母さん、“ラザニア”の音声なんだ…」開いた画面のターミナルを固定するべく、キーボードを叩きプログラム修正
歩美、くすりと
「ねえ、ラザニアがどうしたの?」
花彩、不意に
「お母さんの料理って、おばあ様のレシピから学んだのよね」
歩美、得意顔で
「そうね、お母さんの残された日記も、いまや貴重な遺産ね ここだけの話、一橋パブリッシングからレシピ本の依頼来てるのよ、ニューヨークのラブ・ジ・ミラーズ・ブックストアの試し読みフェア:日本料理再発見とかよ、どうしよう好評につきベストセラーになったら、憧れの一軒家買えるわよ」
花彩、不意に
「お母さん、一軒家は、万が一の放射能嵐除去の設備が大変ですよ 今は高層コンソーシアムで十分よ」
歩美、歯噛みしては
「何か、夢が無いわね 原爆落とされて、未だ不入の地のノースビクトリア州・ウエストビクトリア州に住む訳じゃないのよ」
花彩、頬笑んでは
「でも、多くの人が手に取るといいですね 推敲の早さは常軌を逸してますからね、多分日動火災のコールセンター主任さんより向いてますよ 私も負けじと料理本出版社に売り込もうかな、その前に天上さんにも了承得ませんとね」
歩美、溜息も深く
「いやいや料理の腕はまだまだよ、その前に舌で覚えなさい、頭でっかちは良くないわよ」
花彩、頻りに頷いては
「そうですね、えーとお昼ですよね さて、その間にバックアップしておかないと、容量5GBか、まだまだ掛かりそうですね」アイコンをドラッグする「お母さん、リビングに行きましょう」椅子から跳ね上がる
macbookーplainのバックアップ進行メッセージ【進行中10GB/合計500GB】に膨らむ
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