あの空へ/あの海へ

サハラの砂漠を君の手を引いて進む

花が枯れた季節の事を思い出す

砂の下に埋まった人の事を思い出す

思い出すことを忘れた日の事を思い出す



そして君が笑った瞬間を刻みつける



風が吹いて砂埃を巻き上げた瞬間のように

僕ら少しおどけて

ようやく旅立つ決意を心に決めて

弱々しい白の羽で

あの空へ

痛さも嘆きも悲哀も憎悪も

世界を構成する要素の一因だから



マリアナの海溝では沈んだ聖女像が夢を見続ける

海の底に墜ちた空中都市は微睡みいつかの夢を見る

骨となってなお剣を握った騎士が神々の黄昏の夢を見る

僕らはその海を渡る そんな夢を見る

七つの海を越えて 

七つの虹をこえて

七つの世界と球体を越えて

そんな夢を見る



残すは

書き記した言葉魔法と

電気仕掛けの音楽箱



水面の波紋、夕凪の囁き

僕ら耳をかたむけて

なくした羽について考える

君と言う名の「気泡」を抱きしめて

君が消えないように

僕と言う名の「気泡」を惜しげもなく捧げて

あの海へ

喜びも微笑みも快楽も苦笑も幸せも

世界を構成する要素の一因だから


アノソラヘ

アノウミヘ

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