眼時計

@hatchy

第1話 午前5:20

 果たして、いつから寝ていたのであろうか。重い目をゆっくりと開けると半分くらいまで飲んだ缶ビールと、コンビニで買ってきたスルメが置いてある。暗い部屋の中だが、目の前が明るく光っていた。寝起きの眼球は、部屋の暗いところから目の前にある光るものに慣れようと明順応を起こし、徐々に瞳孔をすぼめ、ようやく自分から2mほど離れたところにある光るものの正体が何であるか視認することができた。それは、テレビであった。今はもうほとんど、テレビは録画したアニメを鑑賞するのと朝のニュース番組のためだけにしか使っておらず、本来の機能であるはずのリアルタイムでのバラエティー番組やドラマは観ていない。それはそうと、今は何時だろう。時刻を確認するためにテレビの右下を見遣る。5:20と表示されていて、午前か午後か分からない。まだ眠い目を擦りながら、気休めだろうがくびを少しだけテレビに近づけ、表示時刻を確認する。ちょうど表示が変わったところで、午前5:21と時刻を変化させていた。たかが時刻を確認するためだけに、かようにも目を無理やり起こしたが、「まだこんな時間なのか。」と思うと眠らざるを得ないような気持になり、なんとかベッドへ場所を移し、そのまま外眼筋を緩め、テレビの電源をぷつんと消すとすぐ、また夢の世界へ戻っていった。

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