→はい
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キサラに言われた通り、目をつぶった。
なんで目を閉じて――と、言われたのか、ぜんぜん、わかんなかったけど。
なにかの遊びなのかな?
キサラは、目を閉じさせたままのぼくを、立たせたまま――なにか、ごそごそと物音を立てていた。
なんだろう?
でも目を開けて見るのは、ルール違反。
ぼくは目を閉じたまま、ずっと待っていた。
そのうちに、キサラはぼくの前にやってきた。
すぐ近く。
目の前のあたりに、キサラが立ったのが、気配でわかる。
「ちゃんと、目を閉じてなさいよ?」
閉じてるよ。
キサラの手が伸びてくる。頭のあたりに触れられる。
「ちょっとかがんでよ、できないでしょ?」
キサラ。
いちいち注文が多いなぁ。
ところで、なにするの?
そんなことを考えていたら、キサラの手が、ぼくの肩に掛かってきて――。
キサラは顔を近づけてきて――。
そして――。
ぼくの頭に――。
なにか? ……布?
そんなものを、頭に巻かれた。
「はい。これでよしっ。――もう目を開けてもいいわよ」
キサラが言う。
ぼくは目を開けた。
鏡をつきつけられる。
頭に布が巻かれていた。
「バンダナっていうのよ。首飾りくれた――お返しよ」
プレゼントにプレゼントで返されてしまった。
「あんた。頭のそれ、いつもは隠しときなさいよ」
なんで? カッコよくない?
「じゃ。言いかたを変える。――あたしたち以外に、見せたら、いやだ」
あたしたち? キサラと誰?
「もう、いいでしょ。――はい。帰った帰った。もう遅いんだから。子供はおうち帰ってクソして寝なさい。
キサラに手で、しっしっとやられてしまった。
あとそういうの言っちゃだめだよ。
キサラ。女の子なんだから。可愛いんだから。
ぼくは家に帰った。その日は、キサラにもらったバンダナをしたまま、寝た。
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