→はい

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 ・

 ・

 キサラに言われた通り、目をつぶった。


 なんで目を閉じて――と、言われたのか、ぜんぜん、わかんなかったけど。


 なにかの遊びなのかな?


 キサラは、目を閉じさせたままのぼくを、立たせたまま――なにか、ごそごそと物音を立てていた。


 なんだろう?


 でも目を開けて見るのは、ルール違反。

 ぼくは目を閉じたまま、ずっと待っていた。


 そのうちに、キサラはぼくの前にやってきた。


 すぐ近く。

 目の前のあたりに、キサラが立ったのが、気配でわかる。


「ちゃんと、目を閉じてなさいよ?」


 閉じてるよ。


 キサラの手が伸びてくる。頭のあたりに触れられる。


「ちょっとかがんでよ、できないでしょ?」


 キサラ。

 いちいち注文が多いなぁ。

 ところで、なにするの?


 そんなことを考えていたら、キサラの手が、ぼくの肩に掛かってきて――。

 キサラは顔を近づけてきて――。


 そして――。

 ぼくの頭に――。

 なにか? ……布?

 そんなものを、頭に巻かれた。


「はい。これでよしっ。――もう目を開けてもいいわよ」


 キサラが言う。

 ぼくは目を開けた。

 鏡をつきつけられる。


 頭に布が巻かれていた。


「バンダナっていうのよ。首飾りくれた――お返しよ」


 プレゼントにプレゼントで返されてしまった。


「あんた。頭のそれ、いつもは隠しときなさいよ」


 なんで? カッコよくない?


「じゃ。言いかたを変える。――あたしたち以外に、見せたら、いやだ」


 あたしたち? キサラと誰?


「もう、いいでしょ。――はい。帰った帰った。もう遅いんだから。子供はおうち帰ってクソして寝なさい。


 キサラに手で、しっしっとやられてしまった。


 あとそういうの言っちゃだめだよ。

 キサラ。女の子なんだから。可愛いんだから。


 ぼくは家に帰った。その日は、キサラにもらったバンダナをしたまま、寝た。

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