華炎新風

 ――宝探しをやってのけた。


 地球軌道に浮かぶ数多のデブリの合間に漂うだけの大型船。残っていたら奇跡だとも、他人には言われていたけれど。


 ――だからきっと運がいい。


 修理が済んだ船体の風すら生まれぬエアロックへ。借金が化けたリキッドエアをここぞとばかりに流し込み。

 ごぅと確かに響いてきた。


「馬鹿よね」

 ため息つかれる目の前で、全身土に塗れていた。裾の油に目を止めて、にやりと不敵に笑みを返す。

「もうじきこれがラー油に変わる」


 有機肥料の新鮮野菜に生の肉。油飛び散り炎が舞う。

 火気厳禁、衛生条件厳しい宇宙など知ったことかと無認可営業。


「俺は新しい風になる!」


 新設した誘導灯へ今日も中毒者(ジャンキー)が寄っていく。


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お題:風

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