第16話 世知辛い

『ルポ 中年童貞』中村淳彦 (著)を読んだ。


 なんていうか三十を過ぎてモテナイ男は、とにかく有害なのでいなくなればいいのにと思われてるんだなぁ。つらい。数少ない人とのつながりの中で、偶然あった人と話しただけだと思うけどね。もちろん、主婦の人がうっとおしいと思うこともまた自由だ。ただ世知辛いと思った。


 当たり前のことだけど、同じ日本語を使っていても、何か共通の思考的枠組みがあるなんてことはない。そりゃ、水は水だけどさ。伝わったり共有できる何かというは冗談だ。なんつうか、コミュニケーションなんて無理だという前提が強いからこそ、久しぶりに会った人に自分語りしたんじゃないのかな。これが理由になるかどうかわからないけど、だから僕は女と話せない。こちらから話す内容もないし、相手が望む適切な会話なんて僕にはわからないからだ。僕はエスパーじゃないんで。


 なので、思うのは、こういう世知辛い世の中で、コミュ障が圧殺されていく世界で、30過ぎたモテナイ男ができることは、可能な限り礼儀を尽くして、深く他者と関わらず、この社会を呪いつつ祝福しながら人目につかぬよう死ぬことだと思った。


世知辛い。

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