ネットの海の枯れ珊瑚の泡

ぺるめるだむす

第一章:おっさんの願いごと

第1話 34歳童貞無職のキリスト教徒

大学を卒業するとき、卒論を書かなかった。書かなくても卒業できるときいて、まじか?ラッキーwwwwwwwwと書かずに終わったのだ。だからゼミにも出ていない。もっとも底辺校だったので、ゼミも抽選とか、そういう始末だと後から知った。


その後、何を間違ったか、アメリカの大学院へ入った。徹夜で勉強しても英語を6ページ翻訳するのがやっとの状態から始まった。行けば何とかなる、というのは大きな勘違いでどうにもならなかった。


3年弱も過ごせば、生きるために言葉を覚えるもので、とりあえず英語は聞けて、何となく話せるようになって、で、いちおう無事に修士を卒業して帰国した。月給は東南アジアかどこかの発展途上国並みで毎月二万円を超えることがない意味不明な仕事に就き、さらに上司のクズはきた。とてもじゃないが日本では生活できない給与で辞めた。


で、ヤメテ適当に看板をでっち挙げたら、芸能人や文化人みたいな人と会う機会が増えた。メディアにも紹介され、業界紙だけではなく、一般紙、一般の出版社から声がかかった。が、いまのところ、それらは一銭にもなっていない。結局、僕はその日その日の紙面や空白を埋めるための素材でしかなく、商売の道具でしかないのだ。それは別に構わない。誰もが誰かの商売の道具になって、なんとか食っているわけだ。だけど、果たして、そういうメディアに出ることで、僕は何かを得たのだろうか。確かに、中学生の頃から好きだった作家(数十冊は書いてる人)に会えた。新聞に大々的に掲載されることで親孝行にもなった。


でも、金にはならないし、保障も仕事もない。地元に帰って就職しようと思ったが、何の因果か、再び大学院へはいるという方向で勉強している。


前置きが長くなったが、そのために学部の卒論相当の論文が必要だと言われて書いている。隣接分野に移るので、以前のものは使えない。教授から受けた主題は書いたんだが、それでは足りないという。なので、いま改めて書きなおしているが、既に、それらについては著名な先生方が書いている。ただの資料の寄せ集め、焼き直しにどれくらいの意味があるのだろうか。


正直、微妙である。


あと試験の第二外国語がまったく進んでいない。こりゃ今朝見た夢のように、大学落ちるかもな。落ちても僕は困らないし変わらない。申し訳なさの償いは必要だろうけどさ。なんとか就職して、生活できる道をみつけたい。


あぁ、猫を飼いながら、暖かいところで静かに暮らしたい。

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