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バイト先のコンビニまで送るという隆也に遠慮し、あたしはバスに乗った。



夏の終わり、バスの中は蒸し暑く、色んな匂いが入り混じっている。



流れ行く窓の景色をぼんやり眺めながら、あたしは、束ねた髪の毛を手で摘み、そっと匂いをかいでみた。



隆也の吸うタバコの香。汗の匂い。


移り香がまだほんのりと残っている。



さっき別れたばかりなのに、すでに、あたしは隆也を恋しがっていた。



でも…。



でも、どんなに恋しがっても、彼が帰ってゆくのは、結局、恋人と暮らすアパートなのだ。

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