12

 

「くくくっ…ざまぁ…」

 俺は青い車を注意深く観察する。間宮は助手席に乗っているのが分かる。しばらく目を逸らさず監察していた。

 すると急に、青い車を運転している男が俺の方を振り返って見た。

「はっ…まじかよ…」

 慌てて隠れるが遅い。驚いた。まさか見られるとは思っていなかった。それに完全に目が合ったように思う。…気づかれたか?

 再度、顔を上げたとき、俺は後悔した。

 今度はハッキリと顔が分かった。目が合った。男は俺を見ていた。口の端をあげ、面白そうにバカにした視線を俺に送っていた。背中を嫌な汗が流れた。

 生きていて、はっきりとヤバいと感じるなんてそう無い。何なんだ…あの男。

 間宮の尾行のはずが、そんなことはもうどうでもよくなっていた。

 何であの女が…あんな男と同じ車に乗っているんだ!?ヤバそうな男なのは予想がついた。

 目を逸らさなければいけない。なのに目が放せない。はやく、ここから逃げないと。

「おい、運転手、尾行はもういい!早く戻れ!」

 慌てて叫んだが、遅かった。俺は次に起こることが理解出来なかった。



 気がついた時は知らない家だった――


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