第5話:異動

先輩社員を見送り、それと同時に新たにきたパートナーさん。

30代で独身の方だ。一見よくどこにでもいる普通の女性、ショートカットで細身、目もパッチリしている。ただ少し天然が入っていて、当初は完全にネタでやっているものだと感じたのだ。

そして店長と副店長の悪い癖だが、「大島君、君は彼女とかいるのか?」と言う。

「特にいませんけど・・・」私はうつむき加減に答える。

「なら今回入ってきた人はどうなのよ?連絡先でも交換したら?」となぜかノリノリだ。自分より年上だしあんまりなぁという乗り気になれないテンションになる。

しかし副店長のツテもあり連絡先を交換する自分がいたのだ。まあ別に食事いくぐらいどうということもないだろうと考えた。

待ち合わせはパスタ屋さん。彼女のそこそこ行きつけの場所だった。

二人きりで行く場所だが、万が一周りに見られていてもなあと思うが、まあそんな偶然もあるはずないと考えた。

その日は色々と店舗のことについて話したり、あとはプライベートなことについて語ったりと。食事は相手が年上ということもあり、ご馳走になった。

正直また機会あればいってみたいものでもあるなとは思った。次はアミューズメントにでも・・・。

彼女と昼過ぎに分かれ、私はいつもの書店に行く。

そこでは椅子があり、座りながら3時間も読書にふけっていたのだ。

今思えばすごいケチな考えではあるが、当初は1500円もする本を買う気すら起きなかったのだ。

恋愛もいいが、まずは基盤となるものを作成していきたい。

お金が自由に出入りできる、基盤というものを。

私はまずは支出をどこまで落としながら人生を楽しめるのか、色々と考えていったのだ。

今日のような出会い、応対。それらが時としてお金に変わる。やはり人との関わりは色んな意味で深いと考えた。

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