不完全な存在である事が、一つの“完全”である事の証左

先天的にしろそうでないにしろ、
この物語の主要人物は序盤から、多くのモノを欠いた存在として強く主張されている。
あらゆるメタファーが多次元的に束ねられ集約される対象が彼なれば、その人物像もより強固かつ柔軟なモノに仕上がるのも納得です。

そも“完全”というのも実に多面的なパーソンだ。
人として、性別として、社会的立場として、つきまとってくるソレらの弱みを、
全肯定という偏愛によって希釈するという均衡の保ち方が、実に危うげでキミらしい作風でイイ。

そうして表した普遍性を“可愛げ”として読者に捉えさせた時点で、
もうミステリーとして確立と成功が約束されているモノだと断言できる。
まだ第二幕ほどしか読んでないオレも骨抜きにされたんで、すでにミスリードされてるのかもネ☆

これこそまさに、推理という不確定性によって見出す、不完全で“完全”なるキャラミステリー!
お見事!

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