変わりゆくもの、あるいは

地方都市の出身者として、開拓されていく街の景色を思う。
慣れ親しんだ商店街はシャッター街に変わり、オセロの盤面が塗り替わるように、市場原理と巨大な資本が街の姿を変えていく。
美しく便利で清潔に生まれ変わった故郷の、その恩恵に与かりながらも、彼の心には失くした景色への郷愁が燻っている。

理不尽な暴力に曝されて、この世界から失われた人間のことを思う。
長い時間を経てもなお、彼女の心には失くした人の姿が残り続けている。
死体のような己を自覚しながら、彼女は、理不尽と対峙し生きていく。

門津市を襲う異形の怪物・フライ。
フライと戦うヒーロー、ポインターと名付けられたものたちの戦う理由は、ひとつではない。
磨り潰された無数の命への哀惜に包まれた地方都市は、人間でなくなってしまったものたちが、それぞれの信念を抱えて臨む戦場だった。

変わっていくものを懐かしみ、悼み続けたとしても、そこに留まることはできなかった。
変わらないものはこの世界に何一つ存在しなかった。
それでも変わらない何かをずっと抱えたまま、廃墟の街で戦い続けるポインターたちの、物語の続きを想像する。

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