ティトゥスの魔童書?

トータス

ベラとベロ  【byナザリック風味?】

著 ティトゥス・アンナエウス・セクンドゥス

発行 アッシュールバニパル魔童書房



「「僕らの名前はベラとベロ

僕らが一番好きなのは、至高なる御方のお傍に侍るのと、仕える事

ベラ、ベロ、ベラ、ベロ・・・」」


 そんな歌を謳いながら、二人は仲良く森の中。


【その二人がどんな格好かって?

 小さな耳と髭が左右に三本ちょっぴり飛び出て生えてて、ナガ~イ尻尾の生えた、ネズミさん?】


「髑髏を籠一杯に拾ったら、デミウルゴスが欲しがってたから渡しておこうね」とベラが言うと「腐った死体が一杯だったら、恐怖公を呼んで片付けて貰おうね」とベロは笑顔で応えていたが・・・それを聞いたベラはなんだかとっても渋い顔。


 そんな会話を交わしていたら、トンデモナク大きな鳥の巣に、これまたトンデモナク大きな卵を見付けた二人。


「やあ、デッカイ卵だな~! これだけ大きいと、超特大の目玉焼きが出来そうだ!」とベラは言いました。

「う、うん、それよりも、これだけ大きくて立派なのに、親鳥が見えないみたいだけど・・・どうして?」とベロは言いました。

「え、そういえば・・・どうしてだろ? ん~?」そう言いながら、ベラは玉子の殻に耳を当ててみた。「分かった! これは孵らない卵みたいだね。だからここに置いて行かれたんだ!」


 ベロもそうと分かれば「な、なら、カステラなんて、どうかな?」と、おどおどとしながら提案してみた。

いつも姉に押し切られてはいるモノの、自分の意見もシッカリと出す子だから。


「よぉーし、じゃあこれはナザリックへ持って帰って料理しちゃおう!」


 ベラはそう言って、腰で丸めていた尻尾でクルリと一巻きすると、えいやっ! と担ぎ上げた。

その様子を見たベロは、「で、でも、これだけ大きいと、途中で滑って落としたりして割っちゃうかもしれないよ?」


「あ~、そっか、そうなったらもったいないか~」


 う~ん残念、とばかりにベラは悩んでいると、


「な、なら、ここで料理するのは?」


 とベロは言いました。


「あ! その手があった! じゃあ、急いで取ってくるから、誰にも取られない様に見張ってて!」


 そう言うと、風の様に走り去っていくベラと、それを呆気に取られながら見送るベロ。


「お、お姉ちゃ~ん! 一旦帰るなら、これも~!」


 とさっきまで集めていた髑髏が一杯詰め込まれた籠。

だが、もはや遠く見えそうで見えない所まで走り去った後だった。


   ・・・   ・・・   ・・・


「えっと、大きいお鍋・・・おっきい、おなべと・・・小さいのもあると良いよね?」別の理由でも?


 なぜか・・・「「え? え?」」と戸惑いの声を上げながら大きなリュックサックに袋詰めされていく存在達?


「あとは・・・小麦粉と、お砂糖は良し! バターとミルク・・・」チラリとたった今袋詰めした片方に目をやるも、ブンブンと頭を激しく横にふられていると、ポロリ?


【おっきいオナベ=ボーイッシュなボクっ娘と浅はかな反応ななーべがある!?】


「ボウルとホイッパー、ボウルとホイッパー・・・」

「はぃ?」

「へわ!? な、なんスカ!?」

「・・・・・・?!」


 問答無用で詰め込まれた!?


「ボウルとバーナーとホイッパーはヨーシ!」


 ??? ・・・増えてる?

沢山入るボウルソリュシャン? 火力重視ルプスレギナ? ハンドミキサーシズ?】


「それに前掛けか・・・あったかなぁ?」


 そこに、そっと差し出された前掛け×2枚。


「え?」

「前掛けを、お探しだと伺ったので」


 つい今さっき出来上がりましたとばかりに針と糸を手にしていた。


「あ! ありがとー! 一緒に来てくれる?」

「いえ、後ほど連れてお伺いしますので」

「じゃあ、待ってるねー!」


 そう言ってベラは風の様に駆け出した!

ベラは急いでいて、ドコかを話すのをすっかり失念していた事に後で気が付いたのであった。

・・・まぁ、如何にかなるよなと?


   ・・・   ・・・   ・・・


 一方その頃のベロは、《アース・サージ/大地の大波》で釜戸作りに励んでいたり。


 とっとこ帰って来たベラは、持って来たさっそく作り始めた。


「・・・フン!」


 凶悪なグローブで卵の殻を割ろうと殴った! が!


 ごぃ~ん! と良い音が響いたが、ヒビも入らなかった!


「う~、てごわいな~。ベラ、やっちゃって」

「ええ!? で、でも、料理のスキルなんて・・・」

「割るだけなんだから、できるでしょ?」

「ううぅ~」

「ほら、早く!」


 そうせかされると、魔法の杖/シャドウ・オブ・ユグドラシルで殴打した。

その二つに割れた真下で、ボウル役が中身を受け取り、回転するホイッパー(?)に換装されたソレで混ぜ合わせて行く。


 ちゅどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど! と絶え間なく響き渡る轟音には流石に耳を塞いで見守る二人。


 ・・・異物混入? それは除けられるから問題無し? 完全物理耐性を遺憾なく活用?


「えっと、お鍋にバターを塗って・・・」

「「・・・はぁっはぁっはぁっ!」」


 別のオナベにバターを塗りたくろうとする餓えたケダモノが二匹? ごぃ~ん! と両手に持った予備のフライパンでド突いたベラと、大きな音と共に倒れ伏したケダモノ達。


「・・・って、ちっがーう! どーして居んのさ」


 おっきなオナベボクっ娘乳脂バターを塗った帳本人曰く、

「つ、つい、良い匂いに釣られたでありんす」何処に塗ったかって? ご想像にお任せ!


 乳脂バターの壷を持った兎さんに襲い掛かった帳本人曰く、

「たまらない匂いだったッス! つい襲ったッス!」と全く悪びれた様子は無かった?

兎さんバニーな理由? 折角作るんだし、幸運値UP! で失敗したくないから?】


「もー!」

「・・・汚された(?)ので着替えてまいります」=読み方は、ご想像のままに!

「ゴメンね~」


 いそいそと着替えに戻る二人について行こうとする二匹を改めてド突くと、ベラは二匹を釜戸の中に監禁すると、

「急いで~」とせかすベラ。

「うぇ~ッス、熱いッス!」

 中からは、攻撃魔法ブロウアップフレイム/吹き上がる炎で鍋肌を加熱。


「ちょっと! 何で私も!?」

 余りの事態に素が出ている?


「え~っと、温度計代わり? 適温になったら教えて~」

「って! どの位なのよ! それって!」 注・素でマジで焦ってる?


「ん~? どの位かな?」とベラがベロに尋ねた。

「え、えっと、バターが焦げない位の温度だから・・・溶ける位?」

「だって~! 溶けそう?」

「溶けてたら大変よ!」

「じゃ、温度上げて~!」

「も~熱くてやばいッス!」「や~め~て~!」

「・・・どうかな?」とオナ~ベsに聞いてみる事にしたベラ。

「まだもう暫くは掛りそうですね・・・」と異口同音な返事が戻って来た。


 お仕置きはまだまだ続きそう?


   ・・・   ・・・   ・・・


 何とか間とか混ぜ合わさった材料を鍋に入れて蓋をしたら、


「「僕らの名前はベロとベラ

僕らが一番好きなのは、至高なる御方にお傍に侍るのと、仕える事

ベロ、ベラ、ベロ、ベラ・・・」」


 そんな感じに歌っていると、ぶぶぶぶぶぶぶと大きな羽音が聞こえて来た。


 カステラの焼ける匂いを辿って来たのか、巨大な虫にぶら下げられたハンモックが飛んで来た。

傍には別の虫に掴まれて飛んでいる者も。


 そして、ドドドと地を駆け、走り来るモノも色々と集まって来た。


「「カステラ作りの、ベラとベロ

みんなで食べよう、ベラとベロ

あと少しで焼けるから、あと少しだけ待っていて」」


   ・・・   ・・・   ・・・


 そんな歌声を耳にしたからか、それとも甘い匂いに誘われたのか、ぱちくりと目をしばたいて、とっても不思議な夢から目覚めたリュートの目の前では。


「うん、良い感じみたい」とベロが杖で引っ掛けた蓋を持ち上げた所だった。

「あ、起きた? 今丁度オヤツが焼き上がった所だよ!」とベラ。


 ひくひくと鼻が動いちゃうような甘い香りと共にリュートの目に入ったのは、夢見ていた様な、とっても大きな卵色した黄色いカステラ!


 皆でパクパク、美味しく頂きましたとさ。


・・・   ・・・



 後に残ったのは、空っぽになったお鍋と、お腹一杯な様子の兎さんナーベラルに抱っこされたリュート、ソレを満足げに見守るボクっ娘と、おっきな卵の殻。


 ベラとベロは残った卵の殻で何を作ったと思いますか?


 正解は、これからを共に担う卵なリュートの為に、何時か庇護を必要としなくなるまで安心して眠れる様に、卵の殻で子供用の寝床ベッドを作りましたとさ。


 これで寝ている時に何かあっても大丈夫?


・・・   ・・・   ・・・


「ん、ん~っと!」大きく伸びをしたアウラが「これで忘れはもう無いよね!」

「う、うん。その筈だけど・・・」とチラリと釜戸の方を伺うマーレ。

「も~出してほしいッス」

「・・・熱い」


 忘れは無かったが、忘れかけられたは居た?




後書き



元ネタは分かりましたでしょうか?

アウラ・【ベラ】・フィオーレ

マーレ・【ベロ】・フィオーレ


日本屈指の名作をナザリック風に混ぜて見ました。

最初はリアル・ラットマンでやってみたけど何だか上手くいかなくって、こうなりました。

こんな風になるのかな~と、変なテンションで書いていました。

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