雨に打たれても立ち続ける、力。

異能バトル、の一言では片付けられない、素敵な作品です。

まず、バトルシーンが素晴らしい。非常に緻密に練られており、異能に頼り切るのではなく、その能力を踏まえた上でいかに活かすか、いかにして戦うかがきっちりと描かれています。
主人公達は決して「最強」ではありません。
成長途中・発展途上であったり、衰えが見えてきていたり。得手不得手もあり、戦いに不向きな者もいます。
しかし、そんな彼等が真っ直ぐに一点を見つめ、持てる力の全てをぶつけてゆく様は胸に来るものがあります。

また、キャラクターひとりひとりが非常に魅力的です。
それぞれに人生があり、その上に成り立っている個々の性格。
物語に動かされているのではなく、物語の上に立っている。

全体的にハードなお話ですが、一度読み始めれば夢中になってしまう。そんな小説です。