流星のアドヴェント ~魔装少女の回旋曲~

兎城宮ゆの

第1話 第一章 二重因子編 プロローグ

地球で暮らしていた頃の僕は、夜空を見上げながら思っていた。

宇宙には、無限に広がる光がある。

月は、その中でも一番大きく見えるのだ。

月から見た地球とは、どんなものだろうか?

その頃の僕の目には、無邪気なまでにありのままを受け止める事ができる瞳と感情が渦巻いていた。

月で暮らす事が、決まったあの日に決め事をした。

この光景を覚えておこう。

そう過去の自分には、月で暮らす事への不安感もなく、ただその空に対する興味しかなかったのだ。

母に読み聞かせられる童話を考えながら、眠るようにその時の僕は夢を抱いたんだと思う。




...ひ...め...ひめ......姫......。

誰かが、私を呼んでいる?

気づいた時には、グラウンドの上で体育座りをしている自分の姿があった。

朝方まで兄の手伝いをしたから、疲れて眠ってしまったのだろう。

その声に応えるべく目を覚まして語りかけてきた隣の女生徒へと、顔を向けながらもゆっくりと顔を上げる。

そうだった。

今日は、XUNISイグニスと呼ばれる固体装着型デバイス兵器の実践授業である。

そして私を”姫”と呼ぶクラスメイトに順番が来る直前まで、寝させてほしいと先に伝えて起こしてもらう約束をしていたのである。

XUNISの授業は、今回が初めてで皆、動きがぎこちないと見える。

機械制御が主で、脳波を読み取る事で稼動するこの兵装に慣れるには、それなりの時間と定着が必要となることを私は知っている。


「次、”カグヤ”」


私の名前が呼ばれた。

ゆっくりと立ち上がって、XUNISの元へと向かっていく。

辺りが、声援をするように姫のコールが湧き起こる。

本来、初めて使用するXUNISは手足を動かす動作に戸惑ってしまい、必ず転倒してしまうのが基本ではあるがーーー。


「.......いきます」


起動制御と重量は、軍に置かれている物(家で操作している物)よりも軽い事もあり、難なく自分の扱える領域だった。

初心者とは、違うという姿を見せ付けるようにユニットと、自分の体を起こしてみせる。

姿勢を伸ばしながら、第一関門『歩く』という項目を通り越して、備え付けられたスラスターによって空中浮遊をやって見せる。

担当の教師もわかっていたとはいえ、やれやれといった表情でこちらを見つめていた。


「流石、カグヤ様! 手足のように扱えていますね!」


宙を舞うように動きまわる私の姿を見た生徒や観客として、見に来ていた先生達から熱烈な歓声が湧き起こる。

当然、兄の下で練習をしていた自分には、朝飯前といったような過剰なまでのオーバーワークを披露してみせる事も可能だが、あまり目立つ事をしたくないのもあり、ゆっくりと地上に着陸してみせる。

瞬く間に校内にいた生徒からも、注目の的になってしまう。

兄の名に恥じないように礼儀として一礼で、微笑みを見せて満足した顔を辺りに振りまく。


「みんなもカグヤのような動きを目指して頑張ってくれ。鐘が鳴るまで各自練習だ」


担当の教師も私の姿を基準として実習を兼ねていきたいという考えなのか、将来的なXUNISの動きというアピールの場として利用させてもらっているというのが、授業の一環としての利用させてもらっていると云わんばかりに手を振って感謝を告げている。

私も小さく手を振りながら相手に応えてみせる。

私の力では、ここまでXUNISを扱えるなんてことにはなっていなかった。

全ては兄の力......。


終わりの鐘が鳴り響き、装着していた生徒が一同に集う。

XUNISを倉庫に戻す為に装着していたままの私は、他の生徒を後ろから、支えながらもゆっくりと保管庫へと向かう。

倉庫の中には担任の教師が待ってくれていて、入り口に置くように各身体の間接に装着していた部位のパーツを外して纏める。


「やっぱり姫は凄いな。勉強に運動だけじゃなくXUNISも簡単に扱うなんてさ」


一緒に移動してきた男子に囲まれながらも私を見て、体格の小さい自分に合わせるような速度で歩いて更衣室に入っていく。


「私は別に特別でも何でもないですよ。兄様の教えが上手いからできるようになっただけでーーー」


「まーた兄様、兄様ってお兄様の自慢ばっかりしてるな。仲がいい兄弟って、高等部でも噂になってるぞお前達」


兄は学業を終えた後、私が通う予定であったこの学園に、教員として過保護を兼ねた空戦技教導官として、私たちにXUNISの基礎知識を解説してくれる役職についたのだ。

学内で別に兄弟らしい仲の良さを見せたことはなかったが、兄が私の事をペラペラと喋っているようだ。


恥ずかしさは残るが、それだけ兄様と信頼関係が上々であることは、校内では有名になっている。


「あ、あのごめんね。いつものお願いできるかな...?」


連れの男子を目の前にして、いつもの事だが着替えてる姿を見られたくないと更衣室の前で待たせようとしている。


「いいぜ。早く済ませないと俺が後ろから襲っちまうからな?」


男子を指揮っているクラスの代表格が笑顔を見せながら、私に気を使って先に着替えることを許してくれた。

着替えを済ませようと、授業で使用した体操着を脱ごうとしている私を背に視線を感じている。


「兄様は普通に男性に見えるのに、何で私だけこんな……」


仕方ないことだが、私の見た目は体型から姿形まで男とは思われない程の肌白さ女の子のような華奢な成りとして、愛称を『姫』と名づけられたも同然なのだ。

女の子に見られても、おかしくもないのはわかっていた。

ややそっち方面の目的で、一緒に更衣室に入る。

もしくは、覗く生徒も少なくはない。

カーテンは閉めているが、カメラで映像を撮られていたりもした事もあり、私が常に男として扱われていないのは明白である。

唯一の救いは、両性ともに校外に流出をしていない事。

校内の話で済むなら安いと、口には出さずにいつも通りの自分を演じながら生活をしていた。

何よりも問題を起こして、兄に迷惑をかけたくないという、一心でいつも通り、着替えを済ませて更衣室を出て行く。


教室に戻ろうと、廊下を歩いていくと、何やら人集りができている。

いつもの事だが恐らくは……。


「あ、先生。姫が戻りましたよ?」


群がる女性の1人が、私に気づくとスーツを着た男性の腕を引きながら側まで連れてくる。


「カグヤ、相変わらずの人気だな」


目の前の彼は私の兄でありながら、XUNISエリート部隊に所属している天才美男子の”シキ”兄様ご本人である。

全校生の憧れで美形な顔立ちに高い身長と、自分に比べて男性の癖に家事スキルも高い何でもこなす完璧超人なのであった。


「兄様、それは自分ではなく兄様の人気だと思いますよ? それと校内では接触を避けてくださいと、夜分遅くに約束したではありませんか」


兄は、どうしてこうも鈍感なのであろうか。

私の事を想ってくれるのは構わないのだが、こうも人集りが出来ては家の中以外で、距離を空けたくなる。

だが会話にも気をつけたい為、兄の腕を抱いて生徒の囲いを抜けながらも屋上へと向かう。

途中の通路で私たちの兄弟愛に感動を受けたかのような歓声、特に女子のものが多くて赤面になってしまう。


屋上に通じる階段を登りながら、入り口を抜けて会話が聞こえないようにと出来るだけ、入り口から離れた位置で向かい合う。

いつものように冷静さを装うように息を整えると、表情が見えるように相手の顔を覗き込むように見つめる。


「それで、ご用件はなんでしょうか?」


「昨日渡した着替え用のデータの一部に入力のミスがあってな。それの調整と報告を兼ねた昼ご飯を誘おうと来てみたのだが、どうだろうか?」


いつもながらに唐突であるが、兄は至って正気であるから毎度の如く呆れてしまう。

一度言い出したら、聞かない性格で自分の事は適当になる癖、私に関わる問題は人目を気にしないという性格。

それが私の兄である。

恐らくは、機能の入力のミスに私が誤作動するかもしれない心配をしていたという、その類の調整なのだろう。


「わかりました。横になれば、よろしいでしょうか?」


屋上のコンクリートで覆われた床に腰を落ち着かせると、兄を見つめながら首を傾げる。


「あぁ、そうしてくれると助かる」


横になった自分の姿を見つめながら、空間に端末を展開させると、数字で構成された光の渦が私の体を包み込みながら、いくつかの情報量が肌に染みていくように溶け込んでいく。

人間の身体とそれを繋ぐ生活必需端末デバイスの情報の電算を記憶させる作業だが、この技術は兄が編み出した魔法の情報から展開を簡略させたものである。

普段の魔法を発動させるには、いくつかの情報を構成して展開、空間での干渉を確認、発動といったいくつかの手順を踏まなければ使えない代物だが、兄の編み出した術式は構成と確認を簡略し、発動までの大規模でない大まかな魔法であれば0.5秒で扱うことができるというプログラムである。


「終わったぞ」


兄の声にゆっくりと目を開けると、上体を起こして追加された情報を確認する為に状態確認の魔法を展開しながら、新しい情報を整理していく。

情報の不一致を修正しただけで、他に何も変わりはない。


「兄様、このプログラムは修正しなくても学内での生活に支障がないのでは?」


修正された魔法の確認をすると、呆れながらも笑顔で見つめる兄の姿を見て、ため息をついてしまう。


「だが何も知らずに展開していたら下着姿だったぞ? そのドレスのプログラムは」


私には、女装の趣味もない。

兄は自分が欲しいと思った魔法の他に私の見栄えの良くなる魔法しか組まない為、一定毎のプログラムの更新で趣向を凝らしたものを組み込もうとする癖があるのだ。


「ドレス姿になるわけないではないですか! ここは学校ですよ!?」


顔を赤くしながらも兄に怒っているといった表情で声を上げる。

いつものおふざけなのだろうが、兄様まで自分を女の子として見ていることに対して不満なのである。

私の不服な表情に笑ってみせる兄の姿に辱めを受けたかのように、赤面になる自分の姿に更に惨めな思いをしてしまう。


「カグヤは、この校内で兄の誇りなのだ。俺はお前が立てられれば、それだけで満足なのさ」


兄が機嫌を取るように頭を撫でながら微笑み、術式を展開して私をドレス姿に変えると突風が唐突に起きた影響で、スカートが捲れあがってしまう。

すぐに押さえつけて下着を見せないようにと姿を元に戻すが、その姿を他の生徒に見られるのもまた屈辱的なものに近い。

直ぐ様、屋上の入り口に向かい階段を下ろうとする私の腕を掴む兄を涙目で睨みつける。


「カグヤ、昼ご飯はどうするつもりだ?」


「知りませんよ! そんなこと!!!」


予想通りギャラリーがいたようで、階段を駆け下がる音と共に屋上入り口付近で隠れていた女生徒が、苦笑いでこちらを見つめている。

赤面になった泣き顔を隠しながら、教室へと戻っていくも昼休みの時間を昼食を取らずに教室の机で、うつ伏せた姿で時が過ぎるのを待っている。


「姫は昨日遅くまで、お兄様と何をしていたのか話してくれませんか?」


どこから、兄と夜分遅くまで付き合わされた情報が漏れたのかは知らないが、半ば眠気と兄について触れられたくなかった為、複雑な顔で声のする方へ顔を向ける。

クラス委員長の女生徒と、兄のファンクラブの何人かが、私の席に近づいて話題を振ってくる。

興味の眼差しに曇りがないことから期待に応えようと、ありのままの出来事を口にする。


「ーーーとこんな感じですかね?」


「お兄様も姫が大切なのでしょう? そんな邪見しなくても良いのでは?」


「邪見にしているつもりは無いのですが、それでも兄様はしつこいです……」


頬を膨らませた私を楽しむように見つめる彼女らに、何の得になるかもわからないが、話を進める毎に期待から歓喜へと早替わりする姿に若干の喪失感を覚える。

伝えたのは新しい戦闘プログラムの調整と、それを制御する飛行スキルの空間固定の状態確認なのだが、彼女らはプログラムのインストール時に許容範囲を超えた情報量に熱暴走した私にとった兄の介護を受けた話に盛り上がっているようだ。

兄弟なので、何もない事を理解してくれないのはわかってはいたが、脱力を受けずにはいられなかった。

昼休みの時間の終わりのチャイムが鳴り響き、姿勢を正して、授業へと集中するように担当の先生に目を向けて講義を受ける。


特に平和なこの世界に発達する技術。

それが今後どんな事に活かされるかもわからないが、励む勉学は未来に向けての調整のような授業。

日常生活にXUNISの活用など、テロリスト鎮圧や宇宙空間に漂う隕石落下の阻止程度しか活用法がない。

殺傷能力がない分、近代ではスポーツとしても見直しを期待されている部分もあったが、肉体を使うことなくしてスポーツと呼べるのか。

そんな疑問を浮かべながら受ける授業は、XUNISの開発に一番に着手した自分の兄様を貶すつもりはないが、この世界に果たして必要な物なのかがよくわからない。

XUNISの操縦や魔法を利用した宇宙空間でのXUNISの実用と、酸素ボンベ無しでの大気と同じ呼吸排出活動を行える理論などを兄様が、自分と同じ歳に発展させた技術を開発した。

世界に対して大きな影響を与えるきっかけになったが、同時に戦争への発展も危険視されていたのも事実である。


量産という名目で開発仕掛けたXUNISの開発だったが、今では機密事項のトップクラス以上として、開発チームと兄しか知らないトップシークレットになっている。

XUNIS内部に仕掛けたAIの判断で情報の漏洩を防ぐ自爆機能も搭載されている為、開示もなく戦争も起きない平和な世界が維持されている。


そして兄が現在開発している新型XUNISの実験体として、私が身体を張っていることが毎日の寝不足に繋がっている。

月で発見された古代文明の遺産オーパーツの利用法として、情報の記憶装置を活用できるということが学会の発表以来、期待視されているせいか担当を兄が受け持つ事になった。

それをきっかけに魔法力が高い自分を抜擢して、毎日新型XUNISの調整をしているのである。

完成が間近な事もあり、徹夜の毎日であるが兄が表情一つ変えずに頑張るのだ。

小さい頃から、兄に頼りっきりだった私も何か力に成りたい。

その一心で、毎夜を共にしていたがーーー。


「次の問題を、カグヤやってみろ……って寝ているのか?」


「姫は、昨日も遅くまでお兄さんを手伝っていたらしいので、代わりに私が読みますね」


最後まで付き合わなければと心に決めてはいるのだが、人工太陽の光の木漏れ日が入る度に学内の授業を放ってしまう程の睡魔に襲われている。

私が眠っているという事実に教師、生徒共々に起こそうとしない理由はよくわかっていないが、終わりのチャイムが鳴るまで目を瞑ってた時もあった。

何度となく注意されもするのだが、優秀な兄から察しているのか大掛かりに怒る教師がいないので、学業が疎かになっているのも事実である。


放課後になるとクラスメイトの友人達とカフェでお茶をするのが日課となっている為、兄様にメールで帰りが遅くなってしまうという連絡を毎日送りつけてから帰っている。

十秒もしない内に了解したという文章が、百文字くらいに凝縮された内容と共に返信されてくる。

いつものことだが仕事よりも自分の話を優先する兄をどうにかしないと、過保護なままで、自分の一生を終えてしまうのではないかと不安になる。

そんな事を思いながらもクラスメイトに連れられて、最近出来たという一風変わったオシャレなカフェに向かって引っ張られていく。


移動中に何度となく視線を感じるが、兄のファンか何かなのだろう。

兄は校内でも人気であり外部からも研究者としての人気が高く批難の声も多い為、弟の自分を監視して弱みを握る又は兄に有利を取るという考えの組織は多いと聞く。

その類が監視しているのであろう。

力ずくで取り押さえに来る相手もいるが、兄が組んだ魔法と私の魔法力があれば身の安全は保障されているようなものだ。


周辺に気を配りながらもクラスメイトと共に店の中に入っていく。

店内は和風で、ガーデンヴィラとも云える見事な造形の数々が置かれている。

この日はどうやら午後メニューが特別らしく、好きなケーキとコーヒーがセットでお得らしい。

周りの反応を見ながら、ガトーショコラとカフェオレを注文する。


付け回っていたゴロツキも店内には入っていないらしく、外部でこちらを見つめているだけの様子なので、とりあえずは一息と話を胸を撫で下ろす。

そんな姿を見ていたようにいつも気を遣ってくれた女生徒がこちらを見つめながら、兄の話だけでは不満だろうとトークを投げかけてくれた。


「そういえば姫は、何の香水を使っているのですか?」


「香水? そんな香りがしますか?」


身の覚えもない質問にきょとんとした表情で顎に人差し指を当てながら、悩みに深けるも思いあたる節もなく、これといって記憶にない。


「兄様の部屋で身体を休めている時についた香りかな.......」


思いついたのが、兄の部屋で調整を受けている時に置いてあった酸味の香る容器に入った液体だが、あの香りが身体に染み付いたのであろうと思い付きを口にした。

ハッと我に返りながら横目で、周りのクラスメイトに目を向けてみる。

予想はしていたが変な妄想を掻き立てる女子が、小さな声でキャーキャーと騒ぎ立てながら、羨ましそうな顔でこちらを見ながらズイズイと、次々に質問を投げ掛けるが、兄とはそこまで親密性もない。

投げかけられる質問は、常に過剰なものばかりである。


「姫は、お兄様をどう思っているのですか?」


「あ、兄様ですか? どうって言われても頼れる男性で、異性だったらこんな殿方と付き合いたいなとは思ってはいますけど。でもーーー」


その質問は幾度となく聞かれてテンプレの受け答えは決まってた。

ただの血の繋がった兄弟をどうと言われても尊敬しているとしか言いようがない。

複雑な表情でケーキとコーヒーを口にしながら、外に目を向けると夜に近づいているようで、人工太陽が沈んで段々と暗くなっていくのがわかる。

兄に帰りが予測していた時間よりも遅れるかもしれないという、メッセージを送信した後に、またしても関係の気になる周りがニヤニヤと、こちらの様子を伺っていた。

帰宅してからお風呂に入る為、お湯を湯船に張ってほしいとも付け加えると、寸分違わずに兄から了解のメッセージが送られてくるのを確認する。


学内ではしつこいとまで思う兄だが、気の利いた優しさにいつも感謝をするように柔らかな表情をしてしまう。

その姿を見たクラスメイトにメッセージを覗かれると、またしても兄弟愛についての探究が始まってしまった。

いつものように過度な発言をしないよう極力プライベートは語らず、放課後のお茶会を堪能しながら、それなりの時間になった辺りでお開きと店を出て行く。

見張りをしていた人物もいなくなっている。

兄様が追い払う手筈を踏んでくれたのだろう。

クラスメイトに迷惑をかけたくないという一心を読み取ってくれた早期な対応に毎度、驚かされているがここも過保護な一面として受け取るべきなのだろう。


挨拶を済ませながら、それぞれの帰る道に分かれて家に帰宅していく。

途中まで一緒に帰る同じ道を歩む女生徒が今日も一緒に肩を並べていく。


「あの…カグヤさん! 少しお話してもいいでしょうか?」


女生徒から、いきなり手を握られながらも今にも泣き出しそうな表情をしていた相手にもう片方の手を添えながら微笑んでみせる。


「大丈夫ですよ。私で宜しければお話ください!」


普段から内気で弱々しく、つい誰かの後ろに隠れてしまう女生徒のクラスメイトだった。

そんな彼女が、必死に震えながらも私の手を握っていたのを見て、勇気を振り絞った事から真剣に聞こうと顔の表情を整える。


「私、好きな人がいて、その人に告白したくて……」


恋の悩み。

男性の立場からでは意見が出来ないのではないかという難題を投げかけられる。

アドバイスができる立場ではないのだが、提案をするようにいくつかの助言を加えながらも、優しく受け答えをしていく内に相手の表情が強張る。

恋の相談とはなんと難しいものだろうか。

性別は男である為、女性の考えというものはよくわからない。


「私は好きな人には好きと言った方が、その相手も嬉しいと思います。どんな殿方でも女の子の気持ちを伝えられて、嫌になる人はいないと考えますので!」


ただよくある相談事は話す前から決まっているというのを参考に相手の気持ちを尊重しながらそれに加えて、自信を持てるように言葉を添えるのが兄から習った教訓でもある。


「……ありがとうございます。素直に伝える事にしようと思います」


感謝の言葉をかけられると、困った表情で別れ道になった通りに差し掛かる。

握っていた手をギュっと強くした相手を見つめながら首を傾げる。


「カグヤさんは、恋ってしたことありますか?」


「え?」


唐突な質問に少し考えながら過去の記憶を辿っていくが、それらしい感情は渦巻いてこない。

簡単に言えば好きという気持ちになったことがないのだろう。


「私はそのような感情は持ち合わせていない半人前の身なので、皆さんが語る恋愛というものが羨ましいですね。いつかは、私のような者を好きになってくれる素敵な女性に出会えたらいいなと思っています」


話をしていた相手に満面の笑みを見せながらも吹き込む風に髪を揺らして、夜空に映し出されている地球を見つめる。

その言葉に感動したのか両手を握られて、普段は見せない表情を私に見せてくれた女生徒に優しく微笑んでみせる。


「ありがとうございます。カグヤさんが姫と呼ばれている由縁がわかった気がします!」


姫というあだ名については触れなかったが、こんな会話でも誰かの役に立てるならと胸の中で嬉しがる感情を抑えながら、ゆっくりと手を離す。


「それじゃあ私はここで。また明日学校でお話しましょうね?」


女性と手を振りながら、別々に道を歩み出す。

帰る時間がわかっていたというように兄が、家の前で待っていた。


「おかえり。晩御飯は、カグヤが好きなドリアだよ」


兄は、今夜の調整も兼ねている私に精一杯の振る舞いをしてくれているのだろう。

そんな気遣いは必要ないと言っているのだが、極度の過保護の兄に私の想いが伝わる筈もなく、毎度の如く言葉に甘えてしまう。

家の中に入るとリビングに案内されながらも豪勢な食事が並べられた。

一級品ともいえるレストランのメニューのような数々の料理が準備がされていた。


「兄様、偶には私の好きな料理じゃなくても構わないのですよ? 兄様も何か食べたい料理などがございましたら、遠慮せずに作ってくれても……」


兄の顔を見つめながら、並べられた料理に不満はないのだが、こうも毎日の食事にまで気を遣われてしまっては申し訳なくなってしまう。

兄は首を横に振り、私の両手を手に取り目線を合わせる。


「カグヤが幸せなら、俺はそれだけで幸せなのさ。お前の人生を支えることが、俺の生き甲斐でもあり宿命でもある。魔法もXUNISも学会だけに利用させはしない。 お前を護ると誓うよ」


校内で発言していれば、誤解を招きそうな台詞だが、こんな兄だから憧れを抱く者も多いのだろう。

私自信も兄様の優しさに、小さな頃から甘えてばかりで、ここまで私を想ってくれていると引き離すのもまた難しいとも思えてしまう。

兄から見て、私の存在とは過保護対象としてではなく別に可愛がる理由はないのだろうか。


「兄様は、それで幸せなのですか? 私に一生を捧げるつもりですか?」


「一生は言い過ぎだろうが、そうだな。カグヤが結婚するまでは続けたいと思っている」


兄の将来も踏まえて、いつまでも頼っていても迷惑になってしまうという思い、胸を痛めながらもそっと両手を離す。

冷め切った料理に手を向けると、魔術の式を構築していく。

兄の術式構築は、いつ見ても綺麗な青色で、見とれている間に料理を包み込む暖かい光が、徐々に料理から出来上がった状態のような美味しそうな匂いと湯気が上がる。

兄の合図と共に料理を皿に盛り付けるように乗せ、ゆっくりと口に運んでいく。

美味しさの余り、顔を和らげていた様子を横から兄が見つめている。


「美味しいか?」


「はい! 兄様の料理は世界一美味しいです」


今日はドリアということもあり、口元にケチャップが付いてしまったりしてしまうと、兄に口を拭かれたりと子ども扱いを受けてしまう。

兄を気にしていては食事も思うように手が進まないのも問題である。

我に還ったようにハッと気づいたことだが、私自身が男だという事を忘れていた。

殿方ならばガツガツ食べて当然ではないではないか。

迷うことなどない。

この食べる手を早めてしまえば、兄が私に対する行動も変わるかもしれない。

しかし過保護の兄だ。

すぐに否定をするかもしれないが、それでも何かきっかけが出来れば兄の行動を変えることができるかもしれない。

唾を深く呑み込みながら、一息をついた後に覚悟を決めると目の前の料理を上品という発想を捨てて、勢いよく貪るように次々と口に放り込んでいく。

汚らしい程に物を頬張る姿に失望しただろうか、兄は前髪で表情を隠しながら身体を震わせている。

どうやら成功したようだ。

満足のいく結果を得られたことに胸を撫で下ろすと、水を手に取りながら口に入れた料理を喉通りよくして流し込み。


「兄様どうなされたのですか?」


相手に悟らないようにと表情を豊かにしながら、口の周りを汚したまま首を傾げる。


「カグヤ……」


両手で私の両肩を強く掴みかかる兄。

相手に悪い印象を与えることに成功したのだろう。

怒られる覚悟で兄と向かい合いながらも、その言葉の続きを待つ。


「俺の作った食事をそこまで美味しそうに食べるカグヤを見れて俺は満足だぞ!!!」


意外な発言に目を丸くしながら、口元を隠しながらバンっとテーブルを叩きながら相手に顔を近づけて、惨めな姿を見せた影響を受けない兄に疑いの目を向ける。


「なっ、なっ、何で怒らないんですか!? 兄様の目に私はどう映っているのですか!?」


「どうとは? 俺の目には、年相応の我が弟がやっと心を開いてくれたように見えたが?」


どうやら兄の目には美味しそうに食べているようにしか見えていなかったようで、逆効果という結果で終わってしまう。

口周りの汚れを拭きながら、笑顔で頭を撫でる兄を片目に残った料理を口に運んでいく。

どうあがいても兄に私の悪い部分を見せることはできないのだろうか。


「食事を終えたらお風呂に入って、さっぱりしてから俺の部屋でいつも通りに研究に付き合ってほしい」


「今日も実験ですか? 私が学校に通えるのも兄様のおかげなのですから、もっと頼りにしてくれてもいいのですよ」


食事を終えると、兄から手渡されるナプキンで口を拭きながら静かに席を立ち、浴室に向かっていく。

いつものことだが、寝着から下着まで兄が用意周到で生活全ての管理されている為、一人立ちをする時に自分自身が何も出来ないのではないかと不安になってしまう。

制服と着ている衣類を篭に入れながら浴室へと入っていく。

シャワーからお風呂の温度まで、私好みの入りやすい暖かさで準備されている為、髪と身体を洗い終えて入る浴槽はとても居心地がいい。


「見た目は、女の子だけど。やっぱり体つきは男…だよね?」


自分の肉体を見ながらも湯船に口を付けてブクブクと不満を口にする。

昔は、同じ屋根の下で兄と共に一緒に入浴していたのだなと思い返す。

水面を見つめながら、自分の肉体がここまで成長したのは兄のおかげであると感謝の意を感じる。

幼き頃から家の事情により引っ越してきた月面都市で、唯一の救いは兄で他に何もなかった。

何か自分も兄にしてあげたい。


「私にも何かできることないのかな......」


水面のお湯を両手で掬い上げながら、その中に映る自分の顔をジィーっと見つめるとゆっくり湯気が昇る天井を見つめる。

浮き上がる湯気に身体の火照りも高潮に近づいたことに気づき。

いつも兄に苦労をさせている事へのお礼をできないものかと考えながら、浴槽から上り、身体の水滴をタオルで拭く。

兄の誕生日が近い中で、これを機に育ててくれた恩返しをすれば、成長した姿を見せることにも繋がるかもしれない。


「まずは兄が何を欲しがっているかを調査しなくちゃ……」


身体を拭いたタオルを置いて、バスローブを巻くと兄のいる部屋に向かって歩き出す。

今夜は少し冷え込んでいるようでバスローブ一枚では、身体が縮こまってしまう。

昨日の続きという事もあり、気をしっかり持たなければならないと部屋の目の前に辿り着くと、深呼吸を一つしながらノックをして確認を取ろうとする。


「兄様、入りますよ?」


ゆっくり扉を開けると、既に実験の準備に取り掛かっている兄の姿があり、邪魔をしないように裏で自分自身の状態を確認しようとする。

新魔法の開発と新型XUNISの調整を手伝う為、毎日のように適合検査を綿密にチェックしていたが、今日取り掛かる実験の疲労は昨日の時点で分かりきっている。

身体と脳波の異常によっては命を落とす可能性もあるのだと、兄は指摘していたので為、念入りに検査をしていく。

状態の確認を終えると、兄のいる実験室に入りながらデジタル端末に向かい合う姿を見つめて、診断結果の出たという紙を機械から受け取り相手に近づいていく。


「カグヤか、早かったな」


兄は姿勢をこちらに向けながら検査で出た診断表を受け取り、異常が無いことを確かめながら端末に情報を入力していく。


「今日も私が新型XUNISの試験でよろしいでしょうか?」


「おいおい、新型XUNISとは彼らに失礼だろう? ちゃんと名をつけてあるのだから、武装兵器とはいえ名称は呼ぶべきだと俺は思っている」


兄が開発した2つのXUNIS。

二刀の大太刀、小太刀の緋天ひてん

二丁の拳銃型の蒼天そうてん

それぞれにXUNIS初の自律型AIを積んでいる兄特製の試作機だが、私が使用しても返ってくる反応が機械染みている為、どうにも名前の呼称を呼びにくい。

兄は気に入っているらしいが、操作性の改善と魔法力の問題から実験は常に私が執り行っている。

兄からの誕生日プレゼントはどちらかのXUNISと聞いたが、一方を選ぶことがAIに影響を与えると考えた。

互いに操者デバイサーとなることを当日に伝えると言っていたが、昨日の相性実験でほぼ決まっていた。

どちらも兄と私を気に入っているらしいが、機械の彼らに想いが伝わってくれるといいのだが.......。


今日も二つのXUNISを手に取りながら、実験を行うが精密性を高める為とはいえ、今回は強度の高い装甲板を破るというのが目標らしい。

念入りに二機のチェックをを執り行う兄を横目に戦闘用のスーツに着替えて、実験が始まる前にXUNISのコア部分を見つめながら、身体を慣らすストレッチを行う。


「両機は万全の状態だ。今日は本気で打ち込んでもらう為、AMFアンチ・マテリアル・フィールドをレベル5で執り行う」


「重力制度と思うように魔力が発動できないフィールド内で、あの厚い防壁を貫くとは中々に難題ですね」


兄を見つめながら、常人では重力だけでも重みに耐え切れずに倒れてしまうという程の圧力のある部屋の中に入る。

厚さがこれだけある防壁を貫くという実験はこれが初めてであるが、既に膝を今にも着いてしまいそうな、重力に踏みとどまるのがやっとである。

命の危険はないが今回は疲労が激しい。これだけで終わるということもあり、兄と会話する時間も取れると、意気込みを入れながら二機の前に立つ。


「まずは緋天の実験から頼む」


思ったいたより身体が動く、これなら問題はないだろう。

魔力回路が上手く発動してくれるかという点だが、自信を持っていけば問題はないと兄の声に耳を傾けながら二刀を手に取り、目を瞑って集中力を高める。


「......いきます」


魔力を両手に集めながら刀を抜くと、目の前にある装甲板を難なく熱を持った刃先で真っ二つに切断してみせる。


意外と手に馴染む緋天を見つめる。この室内でも十分な期待に応えてくれる緋天に小さな声で感謝の言葉を送る。


「切れ味は良好、緋天の能力も十分に発揮してくれたようだな」


次は蒼天だが緋天のような一撃型ではない為、収束砲撃で貫く以外の方法がないだろうと高を括る。

兄なら何通りか考えを編み出すだろうが、自分には魔法力を活かした利用方法を使用できない。


「集中して撃ちこめば大丈夫。 よろしくね、蒼天。」


自分に言い聞かせながら、二丁の銃口に魔力を収束させていく。

昨日の実験では魔力出力に難ありという結果で失敗だった。

魔力の収束からもう少し溜めれば貫くだけの確実な威力が手に入ると、焦った考えがいけなかったのだろう。

改良された魔力貯蔵量を増やしたと兄様から教えられていた為、期待を込めながら魔力を除々に蒼天に充填させていくが、コア部分から警告の音が鳴り響き始める。

魔力コントロールが暴走しているようで蒼天が、膨大した収束を止められないでいるようだ。反動で私の魔力を急激な速さで吸い取っていく。


「兄様、緊急停止プログラムを!」


「やっているが止まらない。蒼天に直接言い聞かせてくれないか?」


蒼天の事を考えずに私が魔力を流しすぎたから、こんなことになってしまったのだろうか?

私から魔力を吸い上げる速度の上昇に伴いながら、床に膝をつけて目眩に襲われる。

息が苦しい。


「ごめん…ごめんね、蒼天。私がアナタを信じてあげなくちゃいけないのに私の事情で無理をさせてるのわかってるんだ」


蒼天を暴走に誘った責任は取る。家の壁を開けるわけにもいかないと、収束した蒼天の魔力を自分の胸元に集めていく。


「兄様、退避してください。魔力の逆流を私の身体に移し変えます」


自爆覚悟で一生を不自由な身体になってしまうかもしれない。下手をすれば命の危機にも繋がる人間自身が魔力の媒体になるという言葉の意味は兄にも伝わっただろう。


魔力の爆発を留めようと自分の周りに防御用のフィールドを張り巡らせて、周りへの被害をなくそうとするが意識が保てなくなれば、家の損壊もしくは周辺の地域への影響は免れないだろう。


「兄様、危ないですからシェルターへ避難をーーー」


薄れゆく意識の中で兄を見つめながら、なんとかしようと対応をしている姿を見て提案を口に出す。

受け入れてくれないのはわかってはいるが、怪我をさせたくないという思いを相手に必死に訴えかけなければならない。


「カグヤ、俺が一度でもお前を見捨てたことがあったか? 俺はお前を護る。それは今も昔も変わらない。これからもだ」


兄の声を聞きながら、希望を持つことで意識を保つことに専念し続ける。

兄が近づいてくるのを確認すると、フィールドの一部を解除して中に受け入れるように今にも途絶えそうな意識を振り絞って、相手の手を握る

膨れ上がった魔力の塊を抑えようと、緋天を手に取った兄はこちらに向けてくる。


「今から緋天と蒼天の魔力融合による調和クロッシングを試みる。

カグヤの魔力に俺の魔力を同調させるに当たって、互いのパルスの逆流を防ぐ為に一時的に苦痛を伴うが我慢できるな?」


「は...い......」


兄弟とはいえ、魔力の波長を同調させるには互いの魔力回路にそれぞれの魔力を移植するようなものであり、痛みを表すならば女性の出産のような痛みが伴うのが当然とされている。


それでも。


「私は兄様を信じてます」


「俺もカグヤを信じている」


互いに笑顔を見せ合うと、兄の合図と共に魔力回路を結合させる。

苦痛に意識を持っていかれそうになるが、俯くことが意識の存続を失うと理解していた。

下は向かない。

断固とした意志を兄に伝えるように握る手を強くし、苦痛に耐えてこちらを見つめる兄様の表情も私を助けようとしてくれている姿がしっかりと目に刻まれた。

それが今の自分の支えになった。

蒼天と緋天が互いの魔力を混合し合うように光を放ちながら、意識を共有する痛みを超えた意思の空間が確かにそこにあった。


兄の全てが伝わるこの空間に、兄も私を感じているのだろうか。

次第に蒼天と緋天が互いに魔力を調和しながら、辺りに残留として魔力が散っていく。

虹色の光に包まれながら、兄に笑顔を見せて胸に倒れ込んでしまう。

薄れいく意識の中で、何度も謝罪の声が聞こえる。

謝るのは私の方だと、兄の頬に手を当てながら意識を失う。


「カグヤ、ごめんな......。お前は俺の希望だ。もう苦しい思いはさせない」


XUNISを見つめるシキの目には覚悟が感じられていた。

蒼天と緋天の調整を行う前に綿密な確認の為、カグヤの状態を確認していく。

安静な状態を確認すると、自室に抱いて連れていきながらもゆっくりと冷え込む夜に風邪をひかないようにと胸元まで掛け布団を被せる。


「カグヤ、おやすみ。いい夢を見るんだぞ?」


前髪を分けながら額に軽い口付けをしながら、自室を後にしたシキはカグヤへの負担や実験体にした事を後悔したのだろう。

二機のメンテナンスをしようと実験室に戻ったが、疲労がシキにも現れるように壁に手を着いてしまう。


「これしきの事で、カグヤを無せない。俺達の夢の為にも必ず必要になる」


明日にでも模擬戦を行えるようにと、パーソナルデータを登録していく。

それだけこの世界には時間が残されていないと悟っていたのだろう。

これから起こる惨劇を回避する力と希望を絶やさない為に。

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