第8話前編 こまとかぱ子の妖怪同中記

ファイヤーマッスルこと元気が、敵を撃破して火の玉となって進太郎の下へ向かった姿は離れた場所で戦っていたかぱ子とこまも見ていた。


「あの馬鹿、こっちを助けに来い!!」

こまが文句を叫ぶ、あまり戦う気が出ないらしい。


一方、かぱ子こと川原春子は亀と河童を混ぜたような重装甲な鎧に身を包んで

戦っていた。

「鍋島さん、あんたも戦いなさいよ!!」

ボウリングの玉ほどの水の塊を、ヘドロの戦闘員へ投げつけて倒していく。

かぱ子は地味に強かった。


「水を得た河童だな、かぱ子♪」

あくまでやる気を出さないこま、しかし何やら四角い箱のような物を取り出して腰に当てると箱がバックルになりベルトが巻かれる。


『スタンバイ、ヨウカイファイト!!』

ベルトから音声が鳴り響くと同時にこまがバックルに手を添える。

「妖怪カード、ドロー!!」

こまの叫びに彼女の周りに四角形の光が三枚現れる。


鍋島こま、その能力は妖怪使いと呼ばれる特殊な魔法使いである。


伝説の陰陽師である阿倍晴明あべのせいめいに敗れた、これまた伝説の陰陽師の

芦屋道満あしやどうまんという陰陽師が現代に改心して蘇った。


蘇った芦屋道満は、驚くべき速さで現代になじみ次世代の陰陽師を育成する為に

アシヤファクトリーと言う会社と妖怪ファイトと言うカードゲームを作り世界各地に広めた。


妖怪ファイトは一般人には、ただの面白いカードゲームだが

魔法使いや術者の素質が有る者、超能力や異能の才の持ち主には

カードに隠された真の力が解放される。


それは、妖怪と契約して召喚して戦わせる他に妖怪と合体して変身したり

妖怪を武器や防具にできたり妖怪の妖術を現実に使えるようになる魔法の力。


妖怪魔法ようかいまほうが使えるようになるのだ。


魔法や超能力が特殊技能として国家資格化された現代では、妖怪ファイトを

遊ぶユーザーの70%が妖怪使いの国家資格持ちである。


鍋島こまは、妖怪ファイトの日本チャンピオンで世界ランカーなのだ。

「猫又とこうもり猫と五徳猫ごとくねこを召喚、憑依装備ひょういそうびで変身!!」


三枚の光が尾が二股に裂けた猫、同じく尾が二股に裂けているも頭に五徳をかぶり竹竿を持った猫、蝙蝠の羽の生えた猫の妖怪に姿を変えこまの体に吸い込まれる。


そして、こまは右腕に竹竿を持ち、頭に五徳を戴き、背には蝙蝠の翼、尾は二股

な三毛猫のような戦隊ヒーローぽい姿に変身した。

「私の猫デッキの力を見せてやろう。」

竹竿を棒術のように構えて見得を切るこま。

「小学校の時から、やる気になるのが遅いのよ!!」

かぱ子がツッコむ、二人は幼馴染で中学時代は同じカードゲーム部だった。


ちなみに、かぱ子も妖怪ファイトプレイヤーであるが彼女は実家が河童と玄武

を祀る神社で修行していたのでカードではなく自身の力と術で変身して戦っている。

そんなかぱ子に対してこまは「原理はおんなじ」とバッサリである。

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