第48話 ニタ、ジュジュとの別れ

 とりあえず遅いが宿を探す。なんとか開けてくれて泊めてもらえる宿屋を見つけた。皆無言で部屋に去る。クタクタだった。そして、俺はそれ以上にニタと話をするのを、ジュジュの今後を聞くのを恐れていた。こんな臆病な勇者。って俺は変わってなんかない。転生したって中身は変わってなかったんだな。前の透と何が違うんだ?




 俺たちは無言でベットに入りすぐに眠りに落ちた。


 


  ***


「透ってなんでそんなに自信がないの?」

「え?」

「透って小学生の時はあんなに自信持ってたのに」

「蘭にはわからないよ」

「でも…」

 蘭にはわからないよ。蘭には。



  ***


「ハッ!」

 またこの起床。最悪の起き方。夢見てたよな? 内容は全く思い出せない。まあ、夢ってそんなもんか。



 今日が来てしまった。別れの時が。ジュジュもここか、魔王の城か、魔物が多いなら世界樹まで送ることになるかな。



 食事をしながら、何気ないいつもの会話のように俺は言う。

「ニタの言ってた魔法使いの街だよな。魔法使いのとこですごい魔法使えたらいいな」

 なんとかここまで言い切った。あとはジュジュか。

「何言ってるんだよ、トオル! 魔王の城に僕も一緒に行くよ。それにもう修行いらないし!」

 え? ニタ?

「あ、私も世界樹にはまだ行かないからね。十八になるまで行かないから。だから私も魔王の城にいくからね」

 ジュジュも。

 ヤバイ目の前が滲んでくる。精一杯涙を落とさないで前を向く。



「そうか! じゃあ一緒に魔王の城に行こう!」




 と、言い切ってしまった。魔王の城に行くって。行く気持ち整ってないんだけど。



 今日はとりあえず休憩。

 もう。店員になる気力はなかった。もう魔王戦になる。なに着ててもいいやと思えてきた。それぞれが好きな服着て俺たちなりの勇者一行で魔王の前に行こう。


「ルート魔王の城までどれくらいの距離?」

 ニタは三人娘について行った。ニタってあいつ本当に見た目以上にタフだな。

「昨日歩いた街からこの街よりは近いけど、着いたら夜になってるかもな。近くに村も街もないし。夜通し戦って魔王戦になる可能性が高いな」

 最悪のコンディション。でも、行くしかない。

 俺は休めるまで休む。ルートは伝説を書いてる。ルートもタフだな。みんな元気だな。俺だけかこんなに魔王戦にビビってるのは。

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