第10話

「メキシコのある街でゼリーが大量に降ってきた、という現象が報告されています」

「ああ、その件なら、あのタコ共だ、あいつらおやつを輸入するのにどうしてもそんな方法を取るんだ」パートナーは私に向かってウインクをした。

「急にものが降ってくる、て現象を作り出すのには苦労したよ。 普通の人たちはファフロツキーズと呼んでる」

「わざわざ大量の魚や、ネジ、カエルなんかを降らせたりしてね。 とにかくまれではあるけどありうる現象として認識されるまでやっておかないと、ごまかしが効かないから」

「オーパーツなんかはどうです?」

「それも同じだよ、彼らの中には、高度な、本当に高度な技術を持っているものもいる。 普通の人たちからみたら魔法みたいな技術だ。 その中の一つにはもちろん時間移動の技術も含まれる」

「時間移動の技術を持っている種族はしばしば忘れ物をするんだ。 彼らが残していったものが、世間で言われるオーパーツってわけ、あんまり害のないものは我々も回収しないからね」

「そうなんですね、ところで、これからどこに行きます?」

「そうだな、おっと、厄介なやつが来たようだぞ」腕時計型のモニターを見つめていたパートナーが眉間にシワを寄せた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る