ゼリー。

菅江真弓

第1話

珍しく夢を見た。

私はホッカイドウに来ている。

窓の下には海が見える。

小さなアルミの窓のそばは私のお気に入りの場所だ。

しばらくして散歩に出る。

家の窓から見える海辺では海が黒く見える。

「折角ホッカイドウまで来たんだから」

「折角とは何よ」

という会話を母としている。

ふいにゆっくりと足下に波が来ているのに気付く。

水位が急激に上昇している、津波だ、だが怖くはない。

母が流される。

私は小学校の柵につかまってやり過ごそうとする。

ゆっくりとした流れのないゼリーのような津波は急に終わる。


窓から見ているとピンク色の服を着た老人がこちらに向かって来ている。

私を迎えに来たのだ。

階下から母の呼ぶ声が聞こえる。

私は狭い階段をおりていく。

「―――」

玄関先で老人が呪文を唱える。

ピンク色のメンバーはすぐにわかる、と私は思っている。

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