第41話 魔法

「この世最大の謎で、俺も経験済みの『魔法』について。魔法ってなんで存在してるの?2次元じゃないよね?ここ」

「……経験したのね」

まるで、経験して欲しくなかったかの様に言うな。

「俺は確実に2回、沙っちゃんも1回我妻千代子から受けている」

「うそ……」

そこまで意外だったか。

「貴方達には知っていて欲しくなかった。その力は自身を滅ぼすから」

暗国軍で聞いた時には冗談だと思ったし、そんな危険なものだとは思わなかったが、そこまでヤバイ物らしい。

「そんなにヤバイものなのかよ……」

「ヤバイわね。だって、この記憶を取り戻せたのは聡夫君の魔法のおかげで取り戻せたのよ。その代わりに、聡夫君は消えた。それぐらいの物よ」

ウソだろ……そんな事をしてまでやる事なのかよ……自分が消えるって分かっていただろうに……

「そんなにリスキーな物だったなんて……」

ん?なんか聡夫にやられた事があるみたいな風に言ってるけど……まさか、ね……

「ちなみに、使えるの?」

「使えるわよ?幾つかなら」

「じゃあ、我妻千代子も使えるってことだよね?」

「まぁ、そうなるわ」

じゃあ、あの時間が戻ったのはそういう事になるな。

「じゃあさ、使えるのを証明してよ?俺達に見せてよ」

「剣君、それは……」

「何?興味本位と、証明として見たいだけだよ?」

もちろん、それがリスキーなのは分かっている。でも、使えるなら、見るべきだと思う。

「……分かった。外に出なさい」




「じゃあ、ちょっとだけね」

「おぉ〜!!」

沙っちゃんは乗り気じゃないみたいだ。

「うーん。何にしようか……魔法初心者に見せて、私に返ってくるリスクが少ないのは……」

相当使えるらしいけど、ローリスクなのを選んでいるらしい。

「うん、これにするか。行くわよ?」

ギリギリ発声している大きさで何かを呟いている。多分、呪文だろう。

「ウォーター」

前に出した右手から水が植物にやるには良いぐらいに出てきた。

「うん。完璧」

「今のが魔法?」

「そうじゃない?」

「えぇ。そうよ」

なんと言うか、

「「ショボ!!」」

「2人揃って酷いわね」

いや、事実じゃん。

「まぁ、証明は出来たし、満足っちゃ満足だけど……」

いや、全く満足はしてない。

「取り敢えず、この事は誰にも言わない事、知られない事」

「分かってるって」

「そ、それじゃあ、私は帰りますね。色々と整理したいし」

まぁ、それが普通だろう。

「途中まで送ってくよ。ついでに行く所もあるし」

そんな流れで、自然と解散になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る