第23話 クラスメイト

リハビリを終え、近くのコンビニで買った税込100円で500mlあるフルーツ牛乳を飲みながら帰っていると、初めて剣君の通ってるクラスメイト2人と出くわした。確か仲はそこまで良いとは言えなかったはずだ。

「おっ、久しぶりだな。剣」

「あぁ、久しぶり」

「最近、学校に来てなかったけど、どうしたんだよ?皆心配してんぞ?」

このクラスメイト達と話したのは、確か1桁なのに、何故こんなに馴れ馴れしいのだろうか。

「ちょっと事故に遭って入院しててな。今はそのリハビリの帰りだよ」

「えぇ!!なんで入院してた事を言ってこなかったんだよ!!」

無駄に好奇心旺盛で確実にバカだと分かるがイラッとする。どこまでズケズケと入ってくるか分からない恐怖からか、それとも、他人と接するのが久しぶりでストレスに感じているのか。

「山奥の方だったから、電波が届かないよ」

「それもそうだな」

「けど、もう大丈夫なのかよ!?」

「あぁ、だから明日からは学校にも行くよ」

そう言うと、確実にクラスメイト達の顔色が変わった。それも喜んでいる方向に。

「お前は学校に来てないから知らないだろうけど、喜べ。明日から学校は当分ない」

「は?」

「実はな、夜中に東京でテロみたいなのがあったろ?そのせいで当分学校がないんだってよ。再開の目処も付いてないらしいぜ」

「それって東京付近がテロみたいなのにあったヤツだろ?こっちは完全に関係ないじゃん。なのになんで?」

「さぁな。でも、休みだからいいじゃねーか。それより、今度で良いから一緒に遊ぼうぜ」

「あっ!!それいいね!!」

「遊ぶ分には構わないけど、リハビリが終わってからな」

「分かってるって。んじゃ、メアドとか教えてくれよ」

「はいよ」

何故かスッと教えてしまったが、こんなに友達が出来るのは簡単だったっけと思ってしまう。

「そんじゃあな」

「おう。また今度」

そう言ってクラスメイトズは軽快に去って行った謎の方が多過ぎて混乱しているが、取り敢えず、

「フルーツ牛乳をもう1本買っても、バチは当たらないですよね?」

そう呟いてから、さっきとは同じコンビニの違う店舗で同じ商品を買った。だが、その夜、盛大に腹を壊した。




その夜、腹痛に悩まされながら、頑張って寝ようとしても、何度も何度もトイレに駆け込んでしまい、眠気もおさらばしてしまったから、深夜アニメを見ることにした。

(今季は再放送枠以外面白そうなのがないんですよね。原作を持っててもキャラデザなどが無理なヤツもありますし。なら、後数年で放送してから10年が経つパンツじゃないで有名な魔法少女アニメを見ましょうかね)

テレビで実際見るのは初めてですがと心の中で付け足す。

「聡夫君はまだ寝ないの?」

「えぇ。腹痛のおかげで眠気がどこかに行ってしまいましたので、アニメでも見ようかと」

「そう。それじゃあ、私も見ようかしらね」

奏さんがアニメを見る所を見た事がない。それに、

「奏さんアニメ嫌いなんじゃないんですか?いつも剣君が見てると嫌な顔をしてましたよね?」

「いいえ?大好きよ。ただ、あの子の前では見ないようにしてただけ。嫌な顔をしてたのは、あの子が見ていると私が見たい物を見れないからよ」

「なるほど」

「それで?何を見るの?」

「ネットでパンツアニメと言われていますが、ズボンの魔法少女のアニメです」

「あ〜。あの有名なアニメね。それ私も好きよ。特に魔眼の少佐が推しね。良いキャラしてるし。曲も全曲持ってるし、毎日聞いてるしね」

「そうなんですか!?なら、BDは部屋に全部あったので、2期を一挙見します?」

「名案ね。2期は良い回が多いしね。なら、取ってきてもらえるかしら?」

「分かりました。では、いってきます」

そう言って僕はBDを取りに行った。だけど、気付かなかった。これがある意味罠だと言う事を。

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