第3話 悪魔の異変、剣の覚悟

あれから3時間後

今日は学校が臨時休校になったと昨日聞いてたからいつもなら1日寝てるのに、ついさっき悪魔と契約したから再び秋刀魚公園で悪魔と待ち合わせをしている。

「こんな人目に付くところに、子供達が元気よく遊んでいる時に呼び出すなんておかしいんじゃないの?」

『取り敢えず、契約の最後だけでもしないと俺が怒られるんだからちょっとぐらい付き合えよ。まさかそんなちっぽけな事も地球人は嫌がるのか?』

と、いつの間にかいた悪魔が答える。てか、マジでどこから出てきた?

「んなもん人によるわ!」

これを言わないと、コイツは確実に勘違いしそうだから言っておく。

「それで。俺の特権ってのは?それと、最後の契約ってなんだよ?」

『いちいち質問の多い奴だ。取り敢えず、付いてこい。』

そう言われ、俺は秋刀魚公園の皆が知らなさそうな、まさに秘密基地の場所にはもってこいの様な場所に連れてかれた。




「あっれぇ〜。ここ何度も来てんのに全然雰囲気違うくなってる。それに、魔王の住処っぽい空になってるし。」

『当たり前だ。ここが当分拠点になる場所で、本部もここにある。』

「へ、へぇ〜。」

ここは絶対ヤバイ。まだ朝なのに空は夕暮れのもっと濃い色してるし、明らか地球じゃない場所に変わってる。まさか魔法の力なのか?

『魔法は信じるか?』

明らかタイミングを図っていたかの様に質問して来る。

「信じない。そんなもんあるなら、ここは明らかRPGや、ファンタジー世界になる。」

『まぁ、初めて知る奴はそうだろうな。』

俺以外にもその質問した事あんのかよ。

『魔法って言ってもな、原理は全然分かってないんだ。神が生み出したとも言われてるし、生活していていきなり発現したり、生まれつき使えたりと様々な原因がある。』

「ちなみにお前は使えんの?」

『使える。俺はいきなり発現して、その後きちんと師から使い方等を教わっている。ちなみにこの幻影魔法は中将級のウィルソン氏の幻影魔法だ。』

「へぇ〜。俺は使える様になんのか?」

『きちんとした師を持てば使えるかもな。』

「そっか。」

やっぱ素質とかもあるんだろう。まぁ、使えなくても指揮の支障はないだろう。

と、そんな事考えていると、昨日見た球体が目の前に現れた。

『さっさと終わらせるために入んぞ。』

昨日見たはずなのにまだ慣れない大きさにビビりながら中に入った。




『それじゃあ、最終契約と契約内容の確認を始めんぞ。』

そう始めた悪魔は何枚かの書類をあさり取り出す。

『これが契約内容だ。

一、坂之上剣が地球侵略時に必要と感じた物、者、事、権限を暗国軍は全て坂之上剣に与え、金額等を全て暗国軍が負担するものとする。

一、坂之上剣の指揮の元、暗国軍が地球侵略を成功させた場合に暗国軍は坂之上剣の願いを可能な限り叶えるものとする。

一、暗国軍が地球侵略を成功させた場合、坂之上剣が地球の長となり地球を統治するものとする。

以上だな。では、質疑応答に入る。』

「じゃあ、幾つかの質問と変更を良いかな?」

『良いだろう。但し、全ての変更が可能とは限らんぞ?』

「了解。でも、全部通してやんよ。」

俺はニヤリと言ってから続ける。

「最初のは、俺が必要と感じた全てが俺の権限で動かせたりするんだよね?」

『ああ。それぐらいはしないとな。』

「それはもちろん、撤退の意向も入ってるよね?俺が撤退って言えばどこか他の星に逃げてくれるんだよね?」

すると悪魔は怒ったように言う。

『ふざけるな!お前、少し調子に乗ってんじゃねーのか?』

「1ミリたりともふざけてないさ。お前等がそんな考えなら、俺が言って勝てる所も勝てずに負ける。全滅して終わりさ。」

これは昨日仏から聞いた情報だ。

昨日、仏は暗国軍が今まで撤退した事がないと言っていた。もちろん、めちゃくちゃ強いってのもあるらしいが、一度、本当に撤退した方がいい時があったらしい。だが、撤退しなかったらしい。その時はそのまま押し切って勝てたらしいがほぼ全滅。引き際を知らない奴の失敗だ。それもよくある。

「お前等は引き際を知らない。なら、どうする。言ってもらって、それで勝つ為に特訓するのが当たり前だ。反論があるなら、聞くぞ。」

珍しく熱くなって、少し反省していると悪魔が頭を抱え込み、顔を歪めて嗚咽を漏らした。

「おい!どうした!!」

「……ろ……にあ……」

悪魔たちが言っている言葉ではなく、日本人が使っている日本語を発したと思えば、悪魔は気を失っていた。




結局、あの後契約の最終確認はおろか、一言も話さず球体からほおりだされた。

もちろん、救護班は呼んでいたので、魔法を使って治療するのだろう。

やっぱり気になるのは、さっき悪魔っぽい日本人が呟いた言葉だった。どういう意味なんだろうか。

「なにか難しい事を考えてるね〜?もしかして、恋?」

「アイツが恋するはずない!……ってうわ!沙っちゃん!!」

「おっす!剣君!!」

ホント元気だな〜。落ち込んでる所なんて昨日のあの話ぐらいだ。

「それで?今日はどうしたの?」

「いやいや〜。ここに行かないとって神からのお告げがあってね〜。どうやら私達は神からお墨付きで付き合う運命なのかな?」

めっちゃ可愛い笑顔で言ってくる。

「え!?マジで!?マジで生きてて良かったぁぁぁぁぁ!!」

「まぁ、もちろん嘘だけど。てか、そこまで喜ぶって剣君頭どうかしたの?」

「どうせそんな事だと思ってたよ!嘘でも本当に嬉しいんだよ!てか、今後マジでこんな嘘吐かないで下さい!!」

俺は思いっきり泣きながら言った。

「うんうん。剣君はいつも通りだったか。良かった良かった。」

やっぱそういう意図か!

「……でも、剣君ならいいかもね……」

え!?何が!?まさか俺と……

「私のことを全部教えても……」

ですよね。期待した俺がバカだった。

「まぁ、そんな事話に来たんじゃないんだけど。」

「じゃあ、何しに来たの?」

「昨日のことだよ。」

やっぱりね。どうせそんな事だと思っていたけど。

「ゴメン。それは教えられない。」

「だよね……でも、返事どうしたか聞いても良いよね?」

俺は沙っちゃんにめちゃくちゃ近付き、耳元で囁いた。

「受けた。待ってて。必ず。」

と、言って俺は家に帰った。

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