第2話 可愛いリッチー

「それでね!カズマったら!-」

「それは酷いです!アクア様も頑張っているんですからカズマさんはもう少しアクア様に優しくするべきです!」

「でしょー??やっぱり私の事をわかってくれるのはウィズだけよ!」

「私はいつでもアクア様の味方ですから!」

「ウィズ〜!」ウィズの優しさに泣き出したアクアはそのままウィズへと抱きついた。

「おい、そこの憎らしい家出女よ そこのポンコツ店主を離してもらうか。そのままでは消えてしまう」

「あ、ウィズごめんね。

それより、なんなの?木っ端悪魔如きが女神である私に話しかけるなんておこがましいと思わないの?」

「いちいちつっかからないとまともに話も出来んのかこのヤクザ女め」

「なんですって?この私をヤクザ呼ばわり?いい度胸ね、あなたの小指を切り落としてやるわ!」

「小僧も大変なのだな…」

そう言ってバニルは疲れたのかため息をついた。

「バニルさん…あの本当にすみません!今度からはもうしませんので許してもらいないでしょうか?」

ウィズがため息をついたバニルに謝りだした。

「どうしたのウィズ。急に謝ったりして、この変態仮面にイジメられてるならいつでも言ってね!私が倒してあげるから!」

「い、いえ、その今回は私が悪いので…」

「?なにかあったの?」

「そこのダメ店主がまたいらん物を買ってきたのだ。倉庫にある分全て使ってな!」少し声を荒げていうバニルに

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」謝り続けるウィズ

「まぁまぁどんなものか見せてみなさいよガラクタかどうかまだわからないじゃない。」アクアはそう言ったが本当にガラクタしか集めてこないのがあのガラクタ店主なのだ。

どうせ売れないのだ見せるくらいいいだろう。そう思った矢先バニルはハッと思いついた。

そうだこの我輩の事を変態仮面呼ばわりした忌々しいトイレ女に全部売りつけようと。

「うむ、どうせこの街の冒険者じゃ扱いきれんものばかりなのだ貴様らなんぞの冒険者じゃ扱えん。」そういってバニルはアクアを挑発。バニルもこれくらいの挑発で乗るとは思ってないが…

「いい度胸ね!この水の女神たる私をそこらの冒険者なんかと比べるなんて!見せてみなさい!使えそうな物なら全部買い占めてやるわ!」そうだこの青い髪をした女はとことんバカだったのだ。

2時間後

「ただいま」

「ああ、おかえりアクア……!?」

アクアのホクホクとした顔と背中に背負った大きな荷物を見てダクネスが息を飲んだ。

「おいこら駄女神、なんなんだその荷物は」

カズマが少し低い声で言うと

「みんな聞いて!良いものたくさん買ってきたわよ!!さぁ今こそ私を崇めなさい!」

「「「…………………」」」

「み、みんな怖い顔してどうしたの?ほ、ほらこれをご覧なさい!魔力を込めるだけで水が出てくる……」アクアが手に取り出したものはジョウロのようなものだ。アクアと俺は水が出せるからいらない。そんな意味のわからない物を買ってきアクアに

「正座」

「はい…」

そして今にいたる。

「さーて、言い訳を聞こうか」

「さ、詐欺よ!あれは詐欺!あの仮面悪魔に騙されたのよ!次あったら消しとばしてやる!」

「どういうことだ説明しろ」

アクアは事の成り行きを説明した。

「それでね!仮面悪魔ったらいやらしい顔で貴様が本当に女神とやらなのだったらこの商品を扱うことができるだろうって煽ってきて…」

「それで買ってきたのかこのガラクタを」

確かに使えるものも少なくないがバニルの言う通り俺たちみたいな中級冒険者では到底扱えないものばかりである。

「とりあえずこれは全部返品する」

「はい…」バニルが簡単に返品に応じるとは思わないが。

「さて、どんな罰を与えてやるか」

「ば、罰だと!?是非私に!」俺が少し凄んで言うと隣のダクネスからそんなどうしようもない言葉が飛んできた。

つかれる…

「か、カズマ?私も騙された身!そう言ってみれば被害者なのよ?そんなひどい罰は…ひどい罰は…」アクアが怒りを露わにする俺の方をみて尻窄みになる。

とりあえずこいつの身ぐるみ剥いで、羽衣みたいなの売り飛ばすか。

そう考えて手を伸ばした時に

「カズマ、来客ですよ」

チッ…もうちょいでこの駄女神を泣かせれたのに。どこのどいつだタイミングの悪い。

「すみません…アクア様いらっしゃいますか?」

玄関に立っていたのは詐欺師と巨乳リッチーだった。

「あああああああ!!!この仮面悪魔!お金を返しなさーい!」

言うなりバニルに飛びついて行ったアクアをダクネスとめぐみんが取り押さえる。

「何を言うか、貴様はもう領収書にサインをし正式な手続きで買ったはずだ」

「バ、バニルさん!」

「じゃあなんでわざわざ屋敷まできたんだ?」俺がもっともな質問をした。

「うむ、最近仲間としての結束が深まってきてなかなか一線を越えられない小僧よどうせこのままほっておいても貴様は我輩に文句をいいにくるだろう?」

「べ、べ、別に一線越えようなんて思ってねーし!つかこいつらの事なんかどうとも思ってねーし!」

三人とウィズの視線が痛い

「まぁでもこのままだと確かに文句くらいは言いに行っただろうな」

「フハハハハハハ!!そんな貴様に良い提案がある!」

「当分この名ばかり店主を貴様らのパーティに加えてやってくれ」

意味がわからず呆然としている俺たちにバニルが説明する。

つまりバニルはウィズがいると黒字にすることが不可能だから当分俺たちに預かってくれということらしい。凄腕リッチーが仲間になるなら俺からすれば願ったり叶ったりだが…

「許しません!私という大魔法使いがいながら!アンデッドの王リッチーを仲間にするなんて!」めぐみんが激昂している。

「バニル、悪いなめぐみんがこう言ってるから…」

「見通す悪魔が宣言しよう。汝、この屋敷にて背中を流してもらう機会が」

「よし!ウィズ!今日からは俺の屋敷に泊まっていけよ!」

「え?えぇぇぇぇ?は、はいよろしくお願いします…」困った顔で焦っているウィズはそれはもうとても可愛かった。

こうしてウィズが俺のパーティに加わった。

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