Part7 「言葉遣いが悪いの」それがどうした。

 「私って、本当に言葉遣いが悪いの。もう本当に自分が分からなくなってしまうみたいに、平気で暴言を吐いたりするのよ」


 と言っていた人がいた。


 「言葉遣いが悪い?」


 とボクは聞き返すと、彼女はどうやら癲癇(てんかん)持ちで、少々ヒステリー体質であるということだった。


 癲癇というものをボクはあまり深くは知らないのだけど、なんだかここ一年くらいはその言葉をよく耳にした。


 した、というか、その言葉にボクの意識が引っ張られているのかもしれないし、何かしらの天からの思し召しなのかもしれない。

 とにかく、ここ一年くらいで「癲癇持ちだ」という人に三人ほど会った。


 なのでその言葉を聞くと、「ああ、癲癇ね」なんて心持ちでいたりするのです。(ほとんど知識なんてないのですが)


 言葉遣いが悪い、の内容を聞いてみると「うるせえ」とか「だまれ」とか「シネ!」とか、


 そういったものを平気で口にするということみたいだけど、


 正直そんなものは大きな問題ではないと思う。(というか彼女自身あまり問題だとは思っていないようだけど)


 これが男性だったら、そんなこと気にしないのかもしれない。


 つまり彼女は、自分が”女であること”を強く意識している人間なのだということになる。


 もちろん自分が男か女か分からないなんてことはないと思うし、そんな当たり前のこと考えもしないのではないかと思うけど。(しかし知り合いには「女」→「男」→「女」なんて稀有な人生を送った人もいるのですが……)


 で、それがどうした。という感じなのですね、ボクとしては。


 それを彼女が言ったことの意味合いは分からない。


 ただの暇つぶしかもしれないし、話題作りかもしれないし、ただ何か音を発したかっただけかもしれない。


 しかし、あまりにも意味がないことじゃないか?とボクはその時思ったんですね。


 ただ、ですね。


 それから少しした後に、「なんか面白いな」なんて思い始めてしまったんですね。その「言葉遣いが悪いの」って話に。


 だからなんだ、って感じなのですが、それを敢えてボクに伝えた彼女に少し惹かれもしたんです。


 ”自分の意識しない部分で、自分の言葉遣いが悪くなる”って、なんか小説のネタとして使えるんじゃないかって、思ってみたりして。


 あー、シメシメ。


 なんてちょっとにやけているボクだったのです。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る