マインド・ブレイク!(3/3)

「……」・・・・・・ピクピク

 川崎氏と入れ替わるようにキャサリン氏が現れた。

「今、川崎さんが泣きながら走って・・・・・・ピクピクいったけど、何かあったの?」

 川崎氏の告白を、山田ヒロハル青少年が断ったのだ。

「お、おい! ……まあ、そうなんだが……」

「セックスはしなかったの?」・・・・・・ピクピク

「おいキャサリン君、もう少し言葉を慎むんだ」

 胸は揉んだが、接吻までは至っていない。山田ヒロハル青少年がネコを見ることが出来なかったら、あのまま流されていたであろう。

「……もんだの?」・・・・・・ピク!

「あ、あれは事故だったんだ! それでも私は理性を保ち、何とか流されずに済んだんだ」

 まあ、いろいろあったが、あのまま流されていたとしても人類は救われ、ハッピーエンドを向かえていたかもしれない。

「それよりキャサリン君。川崎君に私の性癖を教えていたのか?」

「そうよ、山田君がセックスすれば人類が救われることを小耳に挟んでいたから、山田君に好意を持ってる川崎さんに教えたのよ。川崎さんとなら・・・・・・ピクピクセックスまで至れそうだったし、最悪失敗しても私が山田君とセックスすれば良いと思ってた」

 中々にちゅうちょしないキャサリン氏に、山田ヒロハル青少年は少しばかり恐怖感を覚える。

「キャサリン君、君は人をなんだと思っているんだ? 川崎君もそうだったが、性行為を軽んじ過ぎている。例えそれで人類が救えるんだとしても、仕方ないとしても、簡単に行って良いものではない」

「……そうなのかしら? 気持ちいいと聞くし、世界も救わ・・・・・・ピクピクれるなら、一石二鳥だと思うのだけれど?」

「君は快楽主義者か! なら、セックスが気持ちいいものだとしよう……やったことはないけれども……だが、最初は痛いものらしいとも聞く! 人類を救うこと抜きにして考えた時、君は私と痛い思いをしてまでセックスしたいと思うのか? 血も出るらしいぞ!」

「ええ、構わないわ」・・・・・・ピクピク

 思っていたのと違う回答に山田ヒロハル青少年は少し怯むが、何とか反撃を返す。

「つ、強がるんじゃない! ネコが生えてないからって嘘なんか……」

「嘘じゃないわ。寧ろ私が始めてになってしまうことに対して、・・・・・・ピクピクアナタが気分を害さないかの方が不安よ」

「え……」

 またしても予想外のカウンターパンチに、今度こそ怯んでしまう。

「一応、山田君には感謝しているのよ。こんなことに巻き込んでしまったのに、・・・・・・ピクピクちゃんと人類滅亡の為に協力してくれるし……靴の件もあるし……」

「靴?」

 ネコミミを小刻み動かすキャサリン氏の言葉を山田ヒロハル青少年は思い悩む。

 靴とは何だと……

「靴とは何だ?」

「覚えていないなら良いわ。話を変えるのだけれども、生徒の情報の書かれ・・・・・・ピクピクたファイルを見つけて来たわ」

「おお! 本当か! ……いや、今更ながら個人情報を勝手に持ち出してしまっては犯罪なのでは……」

 と、山田ヒロハル青少年は今更罪ながら悪感が沸いてくる。

「今は緊急事態だから仕方ないわ。終わったら元の場所に戻しておくのだし問題ないと思うのだけれど? ・・・・・・ピクピクそれと、会議室には行った? 松本エリナさんが居るかもって……」

「……あ」

 完全に忘れていたな。

 我々はファイルを抱え、とりあえず松本氏が居るかもしれない会議室へと足を運ぶ。


 会議室にたどり着くが、ドアが開いていない。耳を澄ましてみるが、物音一つしなかった。

「どうやら誰も居ないみたいね」・・・・・・ピクピク

「そうみたいだな、それじゃあ教室に戻って……」

「鍵も持ってきたわ、これで中に・・・・・・ピクピク入りましょ」

 用意周到なキャサリン氏のおかげで、中に入ることが出来た。特に教室に戻る必要もない為、会議室に入ると、中は整理整頓されてはいるが空気はよどんでおり、山田ヒロハル青少年達は息苦しさを感じた。

 ここには誰も居ないようだ。

「そうね、居ないみたいね。松本エリナさんの・・・・・・ピクピク座ってる席はどれ?」

「え? ああ、この机だが」

 山田ヒロハル青少年は松本氏の机を指さす。

「それじゃあ、この机を調べて・・・・・・ピクピク見ましょうか」

「え!? し、調べるのか?」

「勿論よ。松本エリナさんの弱味が、ある・・・・・・ピクピクかもしれないわ」

 当然とキャサリン氏が漁ると……

「手紙が入っていたわ」・・・・・・ピクピク

 一枚の綺麗に整えられた手紙が入っていた。

「な、なんだそれは?」

 手紙の裏には、ハートのマークのシールとという見知らぬ男性の名前が書かれている。

「中身を見てみましょう」・・・・・・ピクピク

「いやいや、まてまて! 不謹慎だから止めるんだ! そ、それにこ、これは……ら、ラブレター……だろ?」

 松本氏の机の中には、なんとラブレターが入っていたのだ。キャサリン氏が言っていたことが確定してしまったのだ。

「中身……気にならない?」・・・・・・ピクピク

「……」

 そんな物、見たくなんかない。

 と、山田ヒロハル青少年は思っているが、もしかしたら内容は全然違う物……寧ろそうであってほしいと小さな可能性を願っているのである。

「開けるわ」・・・・・・ピクピク

「あ」

 キャサリン氏は、綺麗に手紙の封を開けた。

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