月見

 ある秋の夜、少年は小高い山の上に座り、団子を食べながら月を見ていた。


「いつ見ても綺麗な月だね~。そう思わない?」

 少年は誰かに話しかけたが、返事はなかった。

「ふう、そうだよね。あんたらに月を愛でる心がある訳ないよね~」

 そう言って少年は立ち上がり、足元を見つめた。


「こんな大変な時のドサクサに火事場泥棒や詐欺って……カスが」


 小高い山に見えたものは、多くの死体が積み上げられたものだった。


「ふん、まあいい月見台になってくれたからさ、魂は消さずに地獄行きで勘弁してあげるよ」


 少年が手をかざすとそれらは勢い良く燃え上がり、やがて灰となって消えた。


「キャハハハハハ。さてと、次へ行こうかね~」


 少年はどこかへ歩いて行った。

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