「ねえ、私の事好き? え、大好き? 嬉しい!」

 そう言って女性は相手を抱きしめた。



「俺は、君が」

 男性は口づけをした。



「ふ~ん、それでいいんだね~こいつら」

 少年はその光景を見ていた。

 そこにはたくさんの男女がいた。

 皆それぞれ相手に愛を語ったり抱きしめたり、と。


 ただ……

「相手が自分の思い通りになればそれでいいんだね~だから人形で満足なんだね~」

 人々が語りかけている相手は少年が作り出した精巧な人形であった。

 その人にとって都合のいい言葉を発する。


「自分を愛してくれない、思い通りにならないからって勝手に怒ったり泣いたりってね。相手を本当に想うなら自分が身を引く事も考えろよなあ~、ってそれができないから人形でもいいんだよね~」


 人々は皆幸せそうな表情をしていた。


「じゃあね。いい夢見ながらこの世界ごと消えちゃえよ」


 少年がそう言うと大爆発が起こり、その世界は消滅した。



「さーて、次はどこへ行こうかなあ~」

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