ゴースト~ダークハーフエルフの彼女の、幾つかの冒険と恋について~
圭琴子
プロローグ
プロローグ
エピテの村が
村は質素な暮らしだがまれに鉱山で採れるミスリル銀を、錬金の匠の
村を高く囲む深い森に住む
エルフとダークエルフは、美しい所は揃いだったが肌の色と生き方が違っていた。真偽のほどは定かではなかったが、遥かなる昔に邪神に魂を売り渡した一部のエルフの肌が、その印に琥珀色に染まったという。それ以来同じ種族でありながら、エルフとダークエルフは相容れぬ存在になった。
ダークエルフは
ミスリル銀はダークエルフにとっても垂涎ものの武器防具で、エピテの村はたびたび襲撃を受けていたが、森に住むエルフたちが、今まで一度も敗北せずに村を守ってくれたのだった。
しかし。その日はここら一体の森のエルフたちが一同に会し、族長を決める儀式を行っていた。どこからその情報が漏れたものか、あるいは偶然か、そこへダークエルフたちが襲ってきたのだ。略奪、焼き打ち、陵辱がそこここで行われ、彼らが去った後の村には、何も残らなかった。
それから十ヶ月。それでもエピテの村は、復興をとげていた。焼かれた家を建て直し、殺された家畜を生み増やし、男たちは剣の腕を磨いていた。
そんな中、彼女は生まれた。まだ幼いと言えるほど若い母親は、難産でその命の
「長老、母親が亡くなりました」
「そうか……。この子は、生きていても良い事があるまい。いっそ……」
「いいえ。この子は俺たちが育てます。一人娘の生んだ子です!」
「私たちが……立派に……」
まだ年若い夫婦が、言葉とは裏腹に泣き崩れながら決意を語った。
赤ん坊は、女の子だった。光の道を歩いて行けるよう、『シャイン』と名付けられた。けれどその名が呼ばれたのは、育ての親が生きている間だけだったという。
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