「チョコチップクッキーを作ってみたぞ、食べるか?」


兄:

「ふふふ、数ヶ月に一度、突発的にやってくるお菓子作りの本能がささやいたので、貴様が外出してる間にチョコチップクッキーを作っておいた。どうだ?」


私:

「いただきますわ」


兄:

「だが 残 念 だ っ た な 。既にクッキーは俺の腹の中だよ。だいたい、俗人共はいつも勘違い甚だしい。何故家でお菓子を作ったら、それを他人に分け振る舞うはずだと考えるのか。おいしいという一言が、労力と対価に見合うと魔法の言葉だと本気で思っているのか? まったく傲慢なっ!」


私:

「あぁ、そうでしたか。では」


兄:

「まぁ待て。そのガッカリしたような死んだ魚の目で十分だ。俺は満足した。さぁ、冷蔵庫で冷やしているから遠慮なく食らうといいぞ」


私:

「…………」


兄:

「なにか?」


私:

「なにも」


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