( ii )「面白さ」を評価する基準~レビューする時に

 ジブン編なので、表題のこの問題は、「自分自身が何をどのように面白がって★やレビュー」を付けるのか、ということについて。自身の思考整理のためにもちょっと書いておこうと思う。

 あくまで個人的なものなので、読む方がいたら、参考程度にしといてくださいな。

 それと、これらの基準はあくまでも「エンターテインメント小説」に限ったものだ。一般文芸、純文学等々では、必ずしもこれと同じ基準が有効とは思っていない。




 まず自分の基本的な約束事として、「公募賞の第一次審査」のように読んでいる。巷間では「下読み」として知られる段階のことだ。ちなみに、何故か巷間で『一次の下読みはその辺の大学生がバイトで雇われている』という言説が流れているが、そんなことはない。元職・現役の作家や批評家、そのジャンル経験がある編集プロダクションへ外注されるもので、読書経験の浅い人がやれるような仕事ではない。


 閑話休題。

 下読みのように読むというのは、読み取る「面白さの幅」を最大限に広く取り、自分の趣味で好悪を判断しない、という意味合いである。

 ただしこれ、「読んだなら」という前提付きであって、あんまりにも趣味が合わないものは最初から選んではいないし、読み通せない。選ばない例としては「文章が合わなさそう・下手そう」「ラブコメ要素オンリー」「異世界転生チートなど量産型web小説」「二次創作」等だ。

 例えば、前述のように「個人的趣味」としてラブコメなど恋愛要素は好きではないので、積極的にそのジャンルを読みに行ったりはしない。が、もしもそのジャンルで読んだとしたら、あるいは他ジャンル作品でラブコメ要素が強いものを読んだとしたら、『ラブコメがあるから「面白くない」な』と判断することはしない、というわけである。


 好きじゃないからといって、面白さを判断できないわけではない(ここは経験の多寡にもよるので、年寄りの方が幅広く読めるというのはある)ので、しっかり面白さを読み取って、良い部分は積極的に味わっていきたいと思いながら読んでいる。




 また余談になるが、「まるで下読みのように」評価する時、実はさして重要な指標にならないのが「文章」である。意外?


 いやもちろん、壊滅的に文がおかしかったら低評価だ、というかしっかり読み通せない。流し読み程度になってしまう。最低限度というラインは存在する。最低限の文法さえ身体に染みついていればどうにでもなる。

 しかし、文章というのは技術であって、技術は真剣に学べば着実に上達するものなのである。「文章がまだ発展途上」というだけで、作品全体を切り捨てるようなことはしない。そんなもの、上達すりゃいいのだからして。


 同様の意味で、語句の多少の間違いや誤字脱字は、「そんなもん出版する時の校正(誤字脱字を徹底的に直す作業)で直る」のだから、あんまり気にしない。『(二)読みきれない作品~こんな風には書かないでね』で書いたような、変な表現を「全編にわたって」やられていると、さすがに頭に入ってこないので読み通すことが難しく例外となるが。まぁここも程度問題。


 では賞レースで文章が良くても意味がないのかというと、そういうわけではない。文章が良ければ、それはそれで評価は高くなる。個人的なことを言えば、流麗な文章というのは、それを読むだけで一つの悦楽を味わわせてくれると信じている。

 要するに、「マイナス評価の指標」として、文章力はさして重大ではないでしょ、ということなのだ。(だからって上達をサボったらイカン)




 いかん、内容が「下読みとは」になってきた。再び話を戻す。

 自分として面白さの評価基準としている点について、おおまかに箇条書きにしてまとめてみよう。これらの要素それぞれについて、「評価できる、できない」「これをやった意味がある、ない」を読み取って、最終的にまとめて判断するという流れになる。




1)発端のアイデアとオリジナリティ

2)作者の意欲的試み

3)破綻のない世界観

4)動きのあるストーリー

5)破綻のない構成

6)愛すべき登場人物

7)総合的完成度

8)無視できない“勢い”





 ご覧のように、「自分が楽しめたかどうか」は基準としては入っていない。そういう好悪感情は、判断に影響は与えるものの、それ自体を軸線にしてしまっては、「レビュー」としては正当性を欠くからである。


 さてここから、前述項目別に「どんなのが面白い?」を書いていくつもりだったが、どうも長くなりそうなので、今後項目別に連載回を立てていくことにしたいと思う。




【2016/04/26】

 えー、ひっそりと、上の箇条書き部分を「1~9」から「1~8」に修正しました。具体的には、独立して「2」としていた「オリジナリティ」の項目を「1」のアイデアと統合しました。よくよく考えるとアイデアと不可分に近いから、こういう記述ではわざわざ別立てする必要はないな、と。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る