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01 目覚め

『おはようございます。お目覚めのお時間です。』


「…………………」


目の前は真っ暗で、いや、どちらかというとオレンジに近いのだろうか。

兎に角何も見えない状態にある。


『ご気分は如何ですか?』


気分もクソもない。ここは何処だろう。

自分の家のベッド…とは何かが違う。

そもそも、自分ベッドとはどのような物だったか。


『ご気分は如何ですか?』


「ここは何処だ、お前は誰だ。」


『声帯異常、なし。ご気分は如何ですか?』


「あぁ最高だ、いいから俺の質問に答えやがれ。」


『体温、質疑応答異常、なし。はじめまして王生いくるみさん。ここは新規取得者専用病棟です。私は貴方の担当を務めさせて頂きますAIえーあいと申します。』


無機質な声とソレを彩る機械音。

病棟と聞いて初めて意識する匂い。

アルコールと、なにか嫌になる鉄の匂い。


『いま、貴方には何が見えていますか?』


「何も見えていないし、何も周りにはない。自分が立っているのか横になっているのかも分からない。」


『視力異常、感覚異常、確認。圧力を低下させます。』


無機質な声と共に視界がぼやける。

灰色の世界が少しずつ目に入った。


『眼球キズなし。視力回復確認。メンテナンス終了。』


その声と共に、はいなくかった。

いる、という気配がなくなった。

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