手順02「世界地図から周辺地図へ」

 世界地図が出来たら、今度はそれを使って物語舞台となる周辺地図を創っていきます。世界地図は将来使う可能性がありますので取っておきましょう。


【手順】

01:大陸を選ぶ。

02:山と川を描こう!


 今回の手順はたったの2つ。これで、舞台となる周辺地域の環境がなんとなく決まってきます。

 一応、私がよくする手法をなぞっていきますので和風なものや極地を考えている方は「こんなのもあるのか」くらいで見て貰えればと思います。


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【01:大陸を選ぶ】


 自分で作った世界地図を見下ろしてみましょう。気分は神様です。

 地形や海は歪かもしれませんが、それはそれ。まだ精度が必要な程のクローズアップを行っていないのでふにゃふにゃで大丈夫。


 そこから想定している物語が適用できそうな大陸を探してみましょう。


 なんとなーく、帝国だとか共和国だとか。あるいは和風だとか。

 既にイメージがあって、付近はこんな感じが良いなど妄想が形になっているのなら迷いませんが、そうでないのなら「選ぶ」必要があります。


 自分で1から創る場合、この「自由」さがネック。

 なんでも出来ると、何をすればいいのか何処から手をつければ良いのか。わからなくなってしまいますし、行動しにくい。


 そしてどの点もそうですが、何かを決めるというのは「メリット」と「デメリット」の明確化でもあります。

 決めなければ無限の可能性がありますが到達は出来ない。決めると、その方向性のメリットは活かせますがデメリットを内包します。


 自分の物語に合った場所がわかればその大陸を。

 よくわからなければ、場所を決めてしまって物語をそれに合わせていきましょう。

 入念に考え抜いてでも、単に気に入った、くらいでも。


 要はふわふわとして定まっていない思考を、決めてしまうことで確かめていくのです。それで書ければOK!

 その設定的制約をガイドレールに、決めきれない自分をコントロールしていきましょう。


・おすすめは西洋風?


 最も手軽なのは温暖な気候、中緯度ほどの地域です。

 1から世界地図を描いてまで、舞台を現代日本風にする人は少ないでしょうから、おそらく異世界を想定していると思います。


 そんな時思い描くのは中世ヨーロッパ~近代ヨーロッパでしょうか。

 私の場合も、たいてい中世の文化を残しつつ魔法などの技術で近代化した世界をイメージしています。


 一般的な異世界イメージに引っ張られないとしても、自分たちが住んでいる地域や、読者が慣れ親しんだイメージというのは損のない選択です。

 何より生活が安定しなければ文化も育たないので、描こうという物語が「限定的な極地での閉鎖的な事件」とかでなければ「温暖な地域」は強いです。


 赤道と極地の中間あたり、暖流があればもう少し上でもOK

 そのあたりで都合の良さそうな大陸と地域を選んでみましょう。


【02:山と川を描こう!】

 選んだ大陸を拡大し、山と川を設定していきます。その大陸のみを切り出して眺めてみましょう。作業的に元の地図とは別にして保存するのがおすすめです。


・まずは山!


 実際の地図と見比べて、それっぽい位置を「山岳地帯」として塗っちゃっても良いですし、山脈の背をガリガリ描いても良し。


 一応海溝を設定して、大陸プレートを設定し、そのぶつかり合うところなどから山の分布を導き出すことも出来ます。

 地震やプレートが関わるのならそれもありですが、少々使用頻度に対して作業コストが高いので最近は割愛しています。


 海溝=大陸の生まれる場所。ざっくり言えば大陸間の海の中心あたりに一本線を引いて、左右にどんどん陸地を押してる感じ。

 ぐいぐい次々と新しく生まれて押していくので、その先で積み重なって海から顔を出して大陸になったり、他の場所から生まれたプレートとぶつかって大きな山脈になったり沈んだりします。


 もちろん丁寧にそのあたりを設定していけば、それだけ山の分布や「このあたりは地震が多い」「温泉が出やすい」「高い死の山がある」「将来海に沈む」だとか「元々は別の島だったが何千年か前に合流した」とか。


 説得力&厚みのある設定になるのは間違いなし!


・次は川!


 ダンゴムシのように山の背を1つずつ書き込んだのか、なんとなくこの辺とマーカーを引いたのか、海溝から設定して大陸を調整しなおしたのかは置いておいて、山が設定出来たならお次は川です。


 そのためには、世界地図を描いた時の大気循環を思い出してみてください。注目すべきは選んだ大陸へ、海から流れて来る風です。


 ざっくり言えば、海から大陸に流れ山にぶつかったら雨!

 海からの湿気を含んだ風が障害物に当たって、雨として陸地に降ってきます。その後、山にしみ込んで何年もかけて濾過され湧き出てきます。これが川になるわけです。


 雨の降りやすそうな山がなんとなーくわかったら、そこから海へ。蛇行しつつ川が流れていきます。この蛇行はそれっぽく描くだけでも良いですし、物語都合で平地にしたいだとか丘が乱立しているとか、そのあたりで調整していきましょう。


 まだイメージできなければ、気分で蛇行させて。その設定に沿って「ここで蛇行してるから、この辺りは丘かな」とか決めていきましょう。


 フワフワまとまらない思考は設定から強制決定。その結果「ここが丘なら見下ろせるよう見張り台が」と新しい設定の足掛かりになるのか「やっぱ使いにくいから見直そう」になるかはわかりませんが、何も決めないよりは前進していきます。


 そうやってめぼしい場所に大きな川をいくつか描ければ周辺地域の地図は完成です。大陸全てに川はまだ描かなくても大丈夫です。


 あくまで舞台となるだろう地域に点々とで十分です。細かい川を書き出すと毛細血管のようになるのでほどほどに。

 ランドマークになりそうな大きな湖だとかが既に構想としてあるのならこの時点で書き込んでも良いですね。


 次はいよいよ国の設定へと入ります。この辺りから、事前に想定している世界の成り立ちなどの設定と行き来しながら創っていくことになります。

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