手順03「実際の日ごとの作業ペースを決める」

 最後はここまでに割り出した実働時間に、書こうと思っている小説の想定ページ数を割るだけです。だけ、なのですが、ここで自分の生活スタイルやペースを考えてみてください。


・平日は仕事が忙しくほとんど書けないのか。

・平日はそこそこ書けるが土日のどちらかは完全に休みたいのか。


 これは好みとスタイルの差が出る部分ですが、


~先程までの例で見れば~

 実働70日だったとして、書き上げたい分量が120ページと仮定すると。


・全10週と見て、一週間ごとにページ数12を割り振り、土日の比重を重くして、平日は一日の分量を少なくする。

 つまり平日は1日1ページ。土日は3~4ページ書くというスケジュールに出来ます。


~あるいは~

・70日で割って、平日予定通りに書けなかった分量を土日にまとめてやってしまう。つまり1日2ページで、忙しくて書けなかった分を週末に取り戻す、という計画にもできます。


 このように、スタイルに合わせていくつかの割り振り方があると思います。


 どれが自分に合っているかは本人にしかわかりませんが、割り振ってしまえば、実際書いている最中に、「自分が今順調なのかどうか」を把握することが可能です。


 計画、スケジュールとは、その自分の舵取りのためにあるものなのです。あとはそうして決められたページ数を日々書いて行けば、あら不思議。締め切り前には想定したページ数に原稿が。


 となっていたら理想ですね。実際長編を書けないという方は、その中身の部分で苦労しているのかもしれません。私もプロットを立てずにやっていた頃はよく中だるみで止まってしまって、最初と最後だけは出来ているのに真ん中が書けないと嘆いていました。

 そのあたりは次章のプロットについてで触れたいと思いますが、とりあえず今回は「スケジュールの立て方」ということで、多少でも皆さんの書き方の参考になれば幸いです。


 この割り振りは長編に限らず短編でも応用可能ですが、特に長編の、途中で止まってしまうことや、自分の現在位置がわからず不安に押しつぶされてしまわないためには有効な手段ではないかと思います。


 既に実践している人からすれば「何を今更」となるかもしれませんが、スケジュールを切るという行為をするまで、私は「計画なんてなくても書ける」と自信満々に勢いだけで小説を書いていました。

 その頃は想定ページの100を200ページにしてしまったり、締め切りを2週間も遅れたり、行動も中身も非常に行き当たりばったりな小説を書いていました。


 硬い頭で「計画は守らねばならないもの」と思い込み、肌に合わないと切って捨てていたのです。


 もちろん、今回あげた通りにやってみても、肌に合わない人はいると思いますし、これは私の方法論でしかありません。

 ですが、私のようにスケジュールに拒絶反応を示していた人や、長編の書き方で迷っている人が、少しでも参考に出来ればと思い、簡単ながらまとめさせていただきました。


 若干理想論を語っている部分もありますが、そこはご容赦ください。


 カクヨムに書き下ろした「人間兵器のグロワール」では日数50日で全てを割り振った結果、自分だけならまだしも周囲に多大な迷惑をかけてしまいました。

 多少無理でも負担が自分だけならば身を切ってでも書き上げてやる、と考えていたのですが、チェックしてくれるという友人たちの負担にまで頭が回らずにいました。


 土壇場でそうは思えど、自身も締め切りに追われて必死だったので泣きついた形となってしまい……。ひどいぞ作者。すみませんでした友人たち。


 50日で16万文字って意味がわからないよ。プロットと世界観に3日って正気じゃないよ。皆さんもそんな無茶な日程をやれると過信して動かないためにも、スケジュールを切るという行為をうまく使って行ってください。


 次はプロットについて自分なりの方法を書きたいと思っていますので、興味があればまた!


 それでは良いカクヨムライフを。

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